ムーラン・ルージュ 特集: バズ・ラーマンの選曲センスってどうよ?

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映画

ムーラン・ルージュ

劇場公開日 2001年11月17日
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ムーラン・ルージュ

「ムーラン・ルージュ」

バズ・ラーマンの選曲センスってどうよ?

赤尾美香

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以前、音楽ライター仲間でこんな話をしたことがある。「無人島に持って行くCD5枚を選んでくださいと依頼されたとして、どれだけの人が本音でそれを選ぶだろうか」と。選んだものを公表する限り、そこには、こいつなかなかいい趣味してるなとか、こいつは新しい音楽にも寛大だなとか、とにかく少しでも他人によく思われたいという気持ちが反映されるはずだ、というのが一致した見解だった。でも、これって音楽ライターに限った話じゃないと思うのだ。「どんな音楽が好きですか?」と聞かれた時に、ホントは長渕剛が好きだけど、スガシカオって言っとくか、みたいな(ちょっと例えが強引ですかね)。

で、バズ・ラーマン。「ムーラン・ルージュ」における彼の選曲は、さしずめ長渕剛が好きです!と胸を張って言ってるような選曲である。場合によっては、観ている方がこっ恥ずかしいほどのベタさ加減。1000曲ものリスト・アップの中からキャラクターとストーリーを踏まえてさらに厳選した、とは本人の弁だけど、英語圏に暮らし、ごく普通に映画やポピュラー音楽に接している人なら誰もが知ってる曲のオンパレード。通な音楽ファンや流行に敏感な若者を刺激する<とがった選曲>が光り、コンピレーションとしての機能をも存分に果たしたサントラは大ヒット、それまで日本人気が先行していたスウェディッシュ・ポップの代表バンド=カーディガンズをアメリカでブレイクさせるにまで至った前作「ロミオ&ジュリエット」とは狙いが違う、といった感じ。

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劇中何度となく<僕の贈りものは、僕の歌。そう、これが君への歌>と歌われるエルトン・ジョンの「ユア・ソング」が、ベタでなくして何であろう。「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」(ビートルズ)は言うに及ばず、ベルリンで東西に引き裂かれた恋人たちを見て<何者も僕らを守りはしないけど、僕らはヤツらを負かすことができる>と歌われた「ヒーローズ」(デビッド・ボウイ)しかり、極めつけには「愛と青春の旅だち」でお馴染みジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズによる激甘ドラマティック・バラード「アップ・ウェア・ウィ・ビロング」ときた(これらを現代的なアレンジで料理するあたりの手腕は、さすが!!なんだけど)。

でも、このベタな選曲の中にこそ、バズ・ラーマンがこの悲恋物語(お話自体がそもそもベタだもんね)にかけた純で熱い思いが見て取れる。とことんやってやれ!って。結構、わかりやすい人だよね。と言いつつ、一方では確信犯としての彼も勘ぐっておくべきだろう。これは、ベタな選曲だからこそいちいち反応できる私のような輩がいることを、いや、ほとんどの観客はそういう輩であることを見抜いた上での作戦なのだ、と。事実、その術中にはまって原稿書いてるわけだし。うーん、どうにも侮れない男である。

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