劇場公開日 2001年11月17日

ムーラン・ルージュ : インタビュー

2001年11月1日更新

「ムーラン・ルージュ」

バズ・ラーマン監督インタビュー

愛こそがすべて、愛こそライフ・テーマそのものなんだ!

編集部

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「ダンシング・ヒーロー」で世界に認められ、シェイクスピアの「ロミオ&ジュリエット」を鮮烈に映画化したバズ・ラーマン。この2作に連なる「レッド・カーテン3部作」の最終章「ムーラン・ルージュ」は、虚構が生み出す圧倒的なリアリティを現出させた作品だ。

「愛によって人が変わることを描きたかった。それこそがライフ・テーマ、生きることの根元だから。人間をより人間らしくするもの、それが愛だと思う。パワフルでエモーショナル、クレイジーでいてシンボリックなもの。愛こそは究極の生きるチカラなんだ。前作『ロミオ&ジュリエット』ではシャンパンのような、一瞬の愛のほとばしりを描いた。傷ついても生きていく若者の姿は、愛が人間をより人間らしくすることを象徴しているんだ。『ムーラン・ルージュ』では、理想に燃えるひとりの青年が大人になっていく過程を描いた。彼は健全な日常から、秘められた世界、アンダーワールドに入っていく。愛を求める彼の前に、愛を救出するという使命をもたらす運命の女性が現れ、叶わぬ恋が始まる。その恋の過程で、彼が何を感じ、愛を通してどんな成長をするかが重要なんだ」

舞台設定には、また別の必然性がある。

「舞台に1900年のムーラン・ルージュを選んだ理由はシンプルだ。娼婦とカンカンが溢れるその館は、ラベル、サティ、ドビッシー、そして映画にも登場するロートレックが訪れるポップ・カルチャー発祥の地だった。70年代のスタジオ54やウォーホールのファクトリーに置き換えてもいい。“映画は時代を照射する”ということを考えたとき、この時代背景と場所こそが、まさに“今”を描くためにうってつけだと気がついた。世紀末を越えようとする時代で、多彩なポップカルチャーに溢れていて、まさに現代そのものだと確信したんだ」

そしてもうひとつの大いなる挑戦、それがミュージカル映画への取り組みだ。誰もが耳にしたことのあるヒットソングが散りばめられ、まるでこの映画のために作られたかのような輝きを放っている。

「1000曲以上をチェックした。まずは個人的なコレクションを片っ端からね。それで、僕が語りたいストーリーにピッタリな曲を選んでいった。曲を含めて脚本を構成するのに何年もかかったし、曲の権利をクリアするのも大変だった。現場でも、通常リハーサルは2週間くらいだけれど、今回は1カ月間かけて入念にやったよ」

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リハーサルまでやったが、使われなかった曲もある。ローリング・ストーンズの「アンダー・マイ・サム」はそのひとつ。ちなみに監督がお気に入りのミュージカル、舞台劇は「トップハット」「キャバレー」「天井桟敷の人々」「バンドワゴン」「オール・ザット・ジャズ」「ワン・フロム・ザ・ハート」だという。

3部作を完了した今、これからの構想はどうなのか。

「レッド・カーテン3部作の第1作『ダンシング・ヒーロー』からちょうど10年、僕は40歳を迎えようとしている。だから『ムーラン・ルージュ』がひとつのピリオドになるのは間違いない。僕は雇われて映画を作る監督じゃない。自分が描きたいものが無ければ、映画作りを考えることはない。次のプロジェクトについて、今は具体的に考えてないけど、ただ、自分にとってプラスになるもの、人生を豊かにする要素を含んだものになることだけは確かだ。クリエイティブな人生を見つけるために、もしかすると極めて個人的な、パーソナルな世界を舞台に選ぶことになるかも知れないな」

最後に、映画をすでに観た人たちへのメッセージをご紹介しよう。

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