殺人の追憶のレビュー・感想・評価
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人間の抱える闇をじっと凝視した傑作
長編二作目にしてポン・ジュノの名前を広く知らしめるきっかけとなった本作は、韓国で記録的大ヒット。80年代の未解決事件の顛末が気になって劇場に足を運んだ人もいるだろうが、それ以上に二人の全く異なる性格の刑事が織り成す人間ドラマとして完成させたところに意味がある。未解決ゆえにこういうミステリーに伴う真相解明のカタルシスは得られないものの、むしろ本作が描き出そうとするのは、ちょうど真っ暗闇のトンネルの先に何が見えるのかを、刑事たちがじっと凝視するイメージ。それを観客にも体感させて背中のあたりをゾゾッとさせる。それはある意味、人間の姿をした悪魔と対峙する人々のあまりに無力で無防備な姿でもあるかのよう。このイメージは本作中に何度も現れ、冒頭の排水溝に始まり、釘が刺さって空いた脚の丸い穴、絆創膏で塞いだ女子生徒の傷へと受け継がれるのも興味深い。ダイナミックな映像と岩代太郎の音楽の融合ぶりも素晴らしい。
秀逸作品
2000年前後に多く作られたサスペンス作品の中で頭一つ抜きでた作品。ポンジュノ監督ならではの発色を抑えた画面とところどころ見せるユーモアが効いている。製作時未解決事件であったが義妹を殺害した李受刑者のDNAが一致し10件中9件に手を下したと自供する。(一件は模倣犯)しかし全ての事件が時効となっている為立憲出来ず。このような事実を含め法律の矛盾をも考えさせる秀逸の作品。
リアルかもしれないが、じとっとした艶めかしさが全体を覆っているし、...
リアルかもしれないが、じとっとした艶めかしさが全体を覆っているし、暴力性が強く、色気のあるシーンが特徴。監督の色なのか韓国映画の色なのかわからないが、あまり見たいと思わない。グロテスク。
かなり前に下書き途中のままだったためこれ以降は内容を忘れたがこれでも十分だと思った。
犯人を捕らえたい・・・刑事の本能
2003年作品。監督は「パラサイト半地下の家族」のポン・ジュノ。
ポン・ジュノ監督も主演のソン・ガンホも只者ではなかった。
現実に起きた婦女暴行殺人事件を追う刑事たちに焦点を当てた
緊迫のサスペンス映画。
事件が映画の中で解決しないので、なんとも言えない徒労感に
グッタリする映画でした。
容疑者は3人は次々と出てきます。
1番目を少し知能の足りない食堂の息子。
2番目は殺人の現場に現れて、ブラジャーやパンティを並べて
自慰行為にふける変態男。
3番目は除隊して華城村に帰って来た男。
この男が村に来てから殺人事件は始まったのです。
しかし男は無実を主張して怯まない。
★目撃者がいない
★証拠がない
浮かんでは消える容疑者に刑事パク(ソン・ガンホ)と、
ソウルから応援に来た
刑事ソ・テユン(キム・サンギョン)は、焦りと疲労とストレスで
精神が追い詰められていく。
犯人扱いされた知的障害ある第一容疑者は本当に、被害者。
壮絶な運命を辿ります。
迷宮事件の捜査を描いた映画は他に
2007年のデヴィッド・フィンチャー監督の
「ゾディアック」がある。
こちらも負けず劣らずの緊迫感のある映画だが、
猟奇殺人事件には刑事もジャーナリストも寝食忘れさせる
強烈は磁場がある。
刑事の業と性(さが)を掘り下げた最後まで面白い映画だった。
追記
2019年。この事件の真犯人が捕まった。
DNA鑑定でも一致している。
まずは未解決事件が解決したのは本当に良かった。
画面が
ずーっと暗くて暗くて、ちょっと観るのに足踏みしてしまいそうですが、見始めると目が離せません。でも、結局未解決のまま、終わり、調べたら韓国で実際にあった事件という事。たくさんの人を殺して国中を恐怖に陥れたのだからこの暗さは必要なのですね。なかなか結着しない事件だから刑事の葛藤とおどろおどろしさを描いたのでしょうか。
韓国映画の最高傑作‼️
ポンジュノ監督としては「パラサイト」を凌いで最高作、しいては韓国映画としても最高傑作じゃないでしょうか。これは韓国で実際に起きた未解決の殺人事件を描いているのですが、事件そのものよりも事件に翻弄される刑事たちの感情に焦点が当てられているのがポイントです。相変わらずソンガンホは上手いのですが、ラスト、降りしきる雨の中、常に冷静に捜査を進めてきたキムサンギョンが遂に逆上するシーンは圧巻。岩代太郎さんの音楽も素晴らしい。
3.2
全体的に古く特徴があまり感じられない映画。
途中で見るのを辞めそうになった。
というのも、人が突然死んでしまい、誰なのかもわからないので
その殺人鬼の恐ろしさがどこか感じられない気がした
監督も配役も今をときめく感じではあるが、個人的にはそのように写った。
ただ後半のワンシーンワンシーンは昔の日本映画にあるような「the映画」という間とスポットライト的な劇的な表現が多かったように思う。
もう少し被害者の人間性がわかれば、うわーーー殺さないでくれ的な感情移入ができ、ハラハラしたかも。でもそうした狙いではなく、一種表現作品の方にふっているので好みが分かれるとは思う。
真犯人は誰だったのか、明らかにしないまま終わってしまった。映画とし...
真犯人は誰だったのか、明らかにしないまま終わってしまった。映画として良かっただけに、オチがあっても良かった気がする。でも実話ベースだから仕方ないのか。
ソン・ガンホ、やっぱりうまい。
焦り
連続殺人事件を解決しようとする刑事の焦りがテーマ。
片田舎で起きた連続殺人事件を捜査するが、一向に解決ができない刑事たち。
冤罪に持っていこうとする状況を諫めていた刑事が、犯人が見つからず、次々と犠牲者が出てくる苛立ちから、ついにはピストルを向けたことは、人が焦りから変容してしまうおそろしさが描かれている。
最終的には、犯人は見つからず、今も生きていると分かる終わり方は、無力さを感じさせられた。
ポン・ジュノ監督の作品は、パラサイト・母なる証明と3作目になるが、どれも完成度が非常に高い。
特に、感情が揺さぶられる映像や音楽が印象深い。
どの作品も、後味があり、個人的には好みである。
実話が元だから‥
何とも中途半端な気持ちで終わる映画だった。未解決事件だから仕方ないけど。
昔の韓国の警察はこんなだったのかと思いつつ、日本も自白を強要した事件があったから似たり寄ったりね。
重要な鑑定結果を雨の中で確認し、その場で処分。こういうリアリティの無さは嫌いなところ。評価:3.3
お見事👏
パラサイトが面白かったので、ポン・ジュノ監督の初期作を鑑賞。凄い!韓国警察の闇にズバズバ切り込みます。自白強要に証拠捏造、キレッキレなドロップキックまで何でもござれ。ストーリーが二転三転し、登場人物が次のシーンでは違う立場になる脚本は見事ですよ。
間違いなく傑作
この監督って、やっぱり天才なんだなと鑑賞中に感じた。
ソン•ガンホはコメディもいいし、シリアスな役も完璧に演じれるさすが名俳優。日本でこの役を誰ができるだろうか。フワッとした感じから、急にぐっと獣のような目つきに切り替わる。圧巻の演技。
やはり撮り方違う。
美しい秋の田園風景、雨の森、雨の畦道、暗いトンネル、そしてまた美しい秋の田園風景。
美しい田園で主人公が感じる絶望。
このギャップにやられた。
内容だけ見れば結末にもやもやするかもしれない。
しかし、一連の流れ、登場人物それぞれの葛藤、映し出される美しい風景。
そして迎えるラスト。
完璧。
胸を張ってお薦めできる。
韓国社会を知らないと伝わりづらいかも
実際の未解決事件を題材としているということで、ミステリーとしてはすっきりしないまま終わるので不完全燃焼ではあるが、それよりも人間ドラマとして描いた映画。
韓国警察の闇に切り込んだ作品。韓国社会の事情を知っていればもっと楽しめただろう。
最後の少女の言葉と第4の壁をぶち壊すラストカットは秀逸。
簡素化しない徹底した描写
ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ主演の2003年公開作品。
実際の事件を基に作られている。
80年代当時の韓国の日常や風景、また人物の何気ない行動や仕草などへのこだわりが徹底している。
(例えば、普通の食事シーンや主人公の刑事の自宅及びオフの時の行動など)
ポン・ジュノ作品に限らず、ナ・ホンジン等の作品にも感じるが、主に警察などの体制側の人間は割とコミカルなダメ人間として描かれる傾向にあるように思える。
また途中まで、それこそコメディタッチで話が進んでたはずなのに、いつの間にかシリアスな方向へ急展開し、ラストは何か不穏な気持ちを抱かずにはいられない感覚を残す作風が多い気がする。
そして、2019年、第92回アカデミー賞にて作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞などを受賞した「パラサイト 半地下の家族」までの作品において、ポン・ジュノ監督の、作品に対する作家性に少しもぶれがないところが一流の映画人たる所以でもあり、人気の秘訣でもあるんだと思う。
問題意識の盲腸線
『ほえる犬は噛まない』でも思ったが、ポン・ジュノの映画は決して単線的な形を取らない。しかし複線というわけでもない。もちろん主題のようなものはあるのだが、その節々から無数の盲腸線が伸びている。
本作の主題は連続殺人事件をめぐる警察の狂気的奔走とその空転にあるが、細かく見ていくと、さまざまな問題意識が織り込まれていることがわかる。
たとえばパク刑事とソ刑事の対比。パク刑事は誤認逮捕も辞さない腕っ節ひとつで刑事の座に這い上がった叩き上げの身である一方、ソ刑事は大都会ソウルからやってきた4大卒のエリートだ。
韓国は日本以上に学歴競争が激しい。「受験戦争敗退者はチキン屋になるしかない」などという洒落にならないブラックジョークが囁かれるほど。パク刑事とソ刑事の折り合いの悪さは、韓国の厳然たる学歴格差に由来するルサンチマンや軽蔑に根源をもつものであるだろう。
二人の緊張関係は数多の捜査を経て次第に寛解していくのだが、ようやく歯車が噛み合ったかと思ったまさに次の瞬間、アメリカから犯人の精液の鑑定書類が届く。
ソ刑事はその結果を見て深く落胆するが、パク刑事にはその理由を瞬時に理解することができなかった。なぜなら書類は英語で書かれていたから。
本筋とは関係のない、ほんの些細なシーンではあるのだが、私は思わず嘆息してしまった。そして本筋の物語が具体的な解を得られぬまま幕を閉じたように、この学歴的な問題意識もまたどこかにうまく接合されるということがない。
もちろん、学歴の問題はほんの一例であり、見方を少し変えるだけで他にもさまざまな問題意識を発見できる。地方/都会の格差、韓国/アメリカの格差、女性の地位、障害者差別、その他諸々。そしてそれらの盲腸線のどれもが、帰結を持たないまま宙吊りにされる。
ラストシーンのパク刑事の表情はとても示唆的だ。数十年前の地獄が今なお続いているという恐怖と絶望。ショットは彼の表情を真正面から捉えている。パク刑事はじっとカメラを凝視している。我々を凝視している。
その瞬間、映画の中の世界は我々の現実と直結する。終ぞ解決をみることのなかった悲惨な物語が、その無数の盲腸線ごと我々に突きつけられる。あとはお前たちでどうにか考えてみろ、と言わんばかりに。
文芸の役割は受け手に何らかの主体的な思考を促すことに一つの本質がある。ポン・ジュノの作品が愛されてやまないのは、上記のような細やかな問題意識と大胆不敵な挑発性があるからに他ならないだろう。
【釘づけにされる実話をもとにしたサスペンス映画】
・2003年公開の韓国のサスペンス映画。
・1986年~1991年に韓国で実際に起きた「華城(ファソン)連続殺人事件」をモチーフとした映画のようです。
・1986年、韓国の農村地帯華城の用水路から束縛された女性の遺体が見つかる。それを契機に、赤い服を身に着けた綺麗な女性が、同じように女性自身の下着で束縛された状態で殺されてしまう事件が次々と発生していく。解決するために地元の刑事パクとチョ、ク課長と共にソウル市警の若手刑事ソの4人が懸命に捜査を進めていくが、それをあざ笑うかのように殺人が止まらない… という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・「なぜ?」「だれが?」が最後まで止まらないサスペンスの面白さ
・ところどころにシュールな小ネタ笑いがちりばめられていて飽きない
・1986年という時代が手に取るようにリアルに感じられる
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[物語]
・「犯人はいったい誰なのか」「なぜこんなことをするのか」というモヤモヤで最後までしっかり引っ張ってくれます。しかも、途中からは操作する刑事をあざ笑うかのように犯罪が発生していくので、ラストの頂点に向けてどんどんとモヤモヤが膨らんでいき、ますます画面から目が離せなくなります。
・実際の事件をモチーフにしているため、物語の落とし方はほぼ決まってしまっているのでしょうが、ここが好き嫌いの分かれ目になるかもですね💦 私自身はラストの目線で、観客が客観から主観に変わるような気がして好きでした。ここは解釈の仕方で面白さが変わるところかもしれませんね。そういう余韻を持たせてくれる所も好きです。
[演出]
・1986年の韓国なんて全く知りません。が、それでも当時の雰囲気をリアルに手に取るように感じてしまう。そんなロケ地や街並み、台詞や行動が妙に共感できて面白く感じました。
・地元の刑事パクは2年生大学出、チョは大学出ておらず、ソウル市警の刑事ソは4年制大学出。この生い立ちを基に、コンプレックスを抱く地元刑事2人とソのちょっとおバカな絡みが小ネタが効いていて好きでした。最初は距離感あるのに、どんどんと仲間意識が芽生えていく流れが、登場人物たちに愛着を持たせてくれる仕掛けになっていてよいですね。エリートのように見えるソが、段々と地元刑事の2人と変わらないように焦燥感を覚えていく姿も見どころではないでしょうか。
[映像]
・ひと昔前、が良く表現された映像になっていると思います。当時の実際なんて知りませんが、それでも「リアル」さを感じさせてくれるところが映画ならではの良さで、それを余すことなく実現してくれています。
[音楽]
・序盤の寂しい感じのBGMは田舎の風景とマッチしていて、妙に共感できる哀愁感があります。これから起こるおどろおどろしい出来事が、こんな哀愁漂う田舎で起こるんですよ~、とどこかアンマッチさを感じさせてくれるところが好きでした。どことなく映画「ハゲタカ」の中国のシーンを想起させてくれました。
・基本的にはBGMは多用されておらず、雨や風景音のみで物語を進めてくれます。これがまた1986年という時代のリアルを感じる仕掛けなのかもしれません。
[演技・配役]
・主役のソン・ガンホさんは映画「パラサイト」の記憶がしっかりありました。至って普通の容姿なのに、味があってとても好きです。ソンさんがやる天然ぽさと言いますかギャグっぽさといいますか、そういうのは不思議とすっと入ってきて面白く感じてしまうんですよね。ソ刑事演じるキム・サンギョンさんは初めて見た気がします。エリートと一般市民の葛藤・狭間、を非常にお上手に演じられていたと思います。どことなく、中村俊介さんに似た雰囲気を感じました。
[全体]
・映画全体の雰囲気とか物語の流れ、人間ドラマは釘付けにされてしまうような素敵なモノでした。ただ、個人的には実話ありきの話ですが、できれば着地のさせ方をオリジナルにしてほしかったなぁ、と思います。この余韻こそが映画の醍醐味!とも思いますが、どうしてもモヤっとしてしまいました。とはいえ、最初から最後まで「どうなるの⁈」と終始ドキドキさせてくれた映画。とても面白い一作だと思います。ありがとうございました。
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72点
パラサイトで名前を知った監督の名作。
古い映画見るたびに思うけど、最近は絵が綺麗すぎる。
絵もそうだけど舞台や背景も汚くてそれがいい。
3年近く前に鑑賞した作品なので正直あまり覚えていませんが、終わりのシーンはとても覚えています。
近々またちゃんと見返して再評価しようと思います。
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