マスター・アンド・コマンダー : 新作映画評論

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映画

マスター・アンド・コマンダー

劇場公開日 2004年2月28日
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マスター・アンド・コマンダー 2月28日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

ディテールへのこだわりが精神を浮かび上がらせる

魂は細部に宿るというが、ここまで細部に徹した作品も珍しい。僕は原作の読者じゃないが、きっとファンにも容認できる出来だろう。それはおそらく「物語が上手く映像に移行できているから」ではない。冒険小説の、ことに時代ものを面白くするのに必要な“ディテールへのこだわり”……その重要さを本作はよく判っているからだ。

帆船と帆船が相対して迫撃砲を撃ちあう光景の重量感、海に立ちこめる白い硝煙。いつか見た挿絵のような画に出くわすだけで「男の子ゴコロ」が燃えはする。しかし19世紀英国軍人の、今の一般人の通念ではいささか理解しがたい精神や理念までをも画面で伝えるにはどうすればいいか。ピーター・ウィアーは言葉での説明を排除し(それは陳腐で誤解を招きやすい)、具体的表現に徹することで、19世紀国家の縮図たる船上生活をおそろしくリアルに再現してしまった。精神はそこから自ずと浮かび出てくるだろう。

艦内での手術時は床に砂を撒く、サボテンは酒になる……等々、200年前の艦船生活に関する瑣末な部分が光を放ち、知的好奇心を刺激する。なんせ主人公の一人は博物学者、まさに近代的理性の象徴だ。もうひとりの主人公である艦長はいささか近代以前の荒ぶる部分を残しており、指揮官として人間としては魅力的だが(おそらく女好きでもあることが一瞬ほのめかされて見事)、結果的に船=国家を地獄に突き落とすこととなる。それでも勝てばいいのだ、というのもまた時代の精神に他ならない。

ところでコレを観ながら僕はあるTVシリーズを思い出した。そうだ、カークとマッコイの漫才が大好きな「スター・トレック」ファンもきっと満足できるだろうな。

ミルクマン斉藤

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