エリ・エリ・レマ・サバクタニ : 新作映画評論

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映画

エリ・エリ・レマ・サバクタニ

劇場公開日 2006年1月28日
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エリ・エリ・レマ・サバクタニ 1月28日よりシネセゾン渋谷ほかにてロードショー

そのとき私でないモノに私は満たされている

画像(C)2005 TOKYO FM バップ ランブルフィッシュ

人は誰もがいつかは死ぬ。自然死、病死、事故死、自殺、などなど死に方はそれぞれだ。自殺病が蔓延する世界というこの映画の設定は、それらの死の区別をなくす。事故死も自殺であり、自殺は自殺病という病死であるのだから。死に方はひとつである。ただ死ぬだけ。それらの区分けにまつわる面倒だったり美しかったり感動的だったりする物語もない。人は死ぬ。しかし死ぬまでは確かに生きている。その普通さ=生と異常さ=死の突然の断絶の中に、音が響く。

主人公たちはミュージシャンである。音の出るさまざまなモノから音を収集し、増幅・変容させて音楽を作っている。「死=モノ」から「生=音」へ、と言ったらいいか。死者も音を出すのだ。だからそれは、不滅の音だ。死は終わりではない。その音が映画館全体に響く。それが私たちの中に注入される。つまりそのとき私でないモノに私は満たされている、ということになる。計り知れない多くの音と、それがもたらす時間と空間とに。私たちの一瞬の生は、それらの音によって生命の歴史と未来へと、極限まで引き延ばされるのだ。だから私たちがここに生きていることにこそ、未来のすべてがある。そんな可能性をこの映画は示す。つまりこの映画によって、私たちの人生は果てしなく広がることになるのだ。

樋口泰人

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ABOUT THE MOVIE

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  • エリ・エリ・レマ・サバクタニ
  • 05年カンヌ映画祭「ある視点」部門に出品された「EUREKA」「レイクサイド・マーダーケース」の青山真治監督最新作。2015年、世界中に死に至る謎の病レミング病が蔓延するが、この病気の進行を抑制する唯一の方法が発見される。それは2人の男が演奏する音を聞くことだった。小説家でもあるミュージシャン暴力温泉芸者=中原昌也やSF小説家・筒井康隆らが出演。タイトルはキリストの最期の言葉、「神よ、何故に我を見捨てたもうや?」のヘブライ語。
  • 監督・脚本:
    青山真治
    製作:
    仙頭武則
    撮影:
    たむらまさき
    音楽:
    長蔦寛幸
    美術:
    清水剛
    出演:
    浅野忠信宮崎あおい中原昌也筒井康隆岡田茉莉子
    製作国:
    2005年日本映画
    上映時間:
    1時間47分
    配給:
    ファントム・フィルム
  • 1月28日よりシネセゾン渋谷ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2005 TOKYO FM バップ ランブルフィッシュ

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