大停電の夜に : 新作映画評論

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大停電の夜に

劇場公開日 2005年11月19日
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大停電の夜に 11月19日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー

美しく繊細な撮影で描く、抑制の効いた群像劇

画像(C)「大停電の夜に」フィルム・パートナーズ

往年の古き良き洒脱なハリウッド・エンターテインメントを志向しても、日本映画は垢抜けないものだったが、この映画の中の東京は、猥雑なイメージが捨象され、実にきらびやかな幻想都市として映し出される。これは俳優たちの魅力がきらめくウェルメイドな群像劇だ。主人公は老人から少年まで12人。不倫、秘密、告白、出産、謝罪、赦し……。大都会の片隅に住む彼らは皆、一様に心に痛みを抱え不安に打ち震えながら、ささやかな幸せを求めている。

きっかけはイブの夜の大停電。まばゆい街が暗転し、柔らかな蝋燭の炎で人々が浮かび上がる非日常は、それぞれの“つかえ”を少しずつ和らげていく。あえてベスト演技を挙げるなら、淡島千景、原田知世、田畑智子。もどかしく、あるいはこんがらがった愛のベクトルのゆくえをめぐる逡巡の中、人工衛星マニアの天文少年と癌を患った少女の出会いのエピソードは、広がりをもたらす。「ラブ・アクチュアリー」ほどセンチメンタルでなく、「マグノリア」ほどトラウマティックではない。臭すぎる話になる危険性を、美しく繊細な撮影と、劇的演出に寸止めをかけた技巧によって回避し、温かい眼差しで彼らを包み込むことに成功している。

清水節

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ABOUT THE MOVIE

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  • 大停電の夜に
  • 12月24日、クリスマスのイブの夕方、突然の停電に見舞われた首都圏を舞台に、自殺しようとする女性と少年、死期の迫った父と息子、不倫中の上司と部下などさまざまな人々の一夜を描く群像劇。監督は「東京タワー」(05)で劇場映画デビューを果たした源孝志。撮影はフランスでジャン=ピエ-ル・ジュネやフランソワ・デュペロン、ヤン・クーネン監督等と組んでいる永田鉄男。
  • 監督:
    源孝志
    脚本:
    源孝志相沢友子
    撮影:
    永田鉄男
    音楽:
    菊池成孔
    出演:
    豊川悦司田口トモロヲ原田知世吉川晃司寺島しのぶ井川遥阿部力本郷奏多香椎由宇田畑智子淡島千景宇津井健
    製作国:
    2005年日本映画
    上映時間:
    2時間12分
    配給:
    アスミック・エース
  • 11月19日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)「大停電の夜に」フィルム・パートナーズ

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