大停電の夜に : 新作映画評論

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大停電の夜に 大停電の夜に 11月19日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー

美しく繊細な撮影で描く、抑制の効いた群像劇

画像(C)「大停電の夜に」フィルム・パートナーズ

往年の古き良き洒脱なハリウッド・エンターテインメントを志向しても、日本映画は垢抜けないものだったが、この映画の中の東京は、猥雑なイメージが捨象され、実にきらびやかな幻想都市として映し出される。これは俳優たちの魅力がきらめくウェルメイドな群像劇だ。主人公は老人から少年まで12人。不倫、秘密、告白、出産、謝罪、赦し……。大都会の片隅に住む彼らは皆、一様に心に痛みを抱え不安に打ち震えながら、ささやかな幸せを求めている。

きっかけはイブの夜の大停電。まばゆい街が暗転し、柔らかな蝋燭の炎で人々が浮かび上がる非日常は、それぞれの“つかえ”を少しずつ和らげていく。あえてベスト演技を挙げるなら、淡島千景、原田知世、田畑智子。もどかしく、あるいはこんがらがった愛のベクトルのゆくえをめぐる逡巡の中、人工衛星マニアの天文少年と癌を患った少女の出会いのエピソードは、広がりをもたらす。「ラブ・アクチュアリー」ほどセンチメンタルでなく、「マグノリア」ほどトラウマティックではない。臭すぎる話になる危険性を、美しく繊細な撮影と、劇的演出に寸止めをかけた技巧によって回避し、温かい眼差しで彼らを包み込むことに成功している。

清水節

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ABOUT THE MOVIE

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  • 大停電の夜に
  • 12月24日、クリスマスのイブの夕方、突然の停電に見舞われた首都圏を舞台に、自殺しようとする女性と少年、死期の迫った父と息子、不倫中の上司と部下などさまざまな人々の一夜を描く群像劇。監督は「東京タワー」(05)で劇場映画デビューを果たした源孝志。撮影はフランスでジャン=ピエ-ル・ジュネやフランソワ・デュペロン、ヤン・クーネン監督等と組んでいる永田鉄男。
  • 監督:
    源孝志
    脚本:
    源孝志、相沢友子
    撮影:
    永田鉄男
    音楽:
    菊池成孔
    出演:
    豊川悦司、田口トモロヲ、原田知世、吉川晃司、寺島しのぶ、井川遥、阿部力、本郷奏多、香椎由宇、田畑智子、淡島千景、宇津井健
    製作国:
    2005年日本映画
    上映時間:
    2時間12分
    配給:
    アスミック・エース
  • 11月19日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)「大停電の夜に」フィルム・パートナーズ

大停電の夜に

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