カポーティ : 新作映画評論

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新作映画評論

カポーティ カポーティ 9月30日よりシャンテシネ、恵比寿ガーデンシネマにてロードショー

その背景に耳を澄ますことによってのみ、見える映画

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「カポーティ」は作家トルーマン・カポーティが一家惨殺という実在の事件について書いた「冷血」の取材、執筆中の物語だ。しかし引き算に引き算を重ねるという際立った演出を見せるこの新人監督は、カポーティの正面には迫っていかない。彼は、カポーティが犯人の1人ペリー・スミスを取材していく過程で見せる、作家の激しいまでに業の深い横顔を、ひたすら追っていくのだ。だがその結果、人生にたった1つの道しか与えられなかったカポーティの悲哀や孤独が滲み出てくるのである。正面から描くよりも、ずっと深く、明確に。

スミスもカポーティも共に、偏見と闘いならが生きてきた社会のアウトサイダーであった。スミスは殺人を犯した時に、被害者の目に映った一瞬の恐れに、初めて人として認知された自分を見つける。そしてカポーティは、作家としての才能で辛うじて社会と繋がっている。内容は異なっても、そのわずかな社会との接点は彼らが決して離すことのできない命綱なのだ。

だからラストでカポーティが「スミスを救うために何もできなかった」と嘆いても、悔恨の言葉と騙されてはいけない。名声のためにスミスを利用した彼は、自分が良心を手放した事実を否定したくて情のあるフリをしただけなのだから。映画「カポーティ」の本当の姿は、スクリーンに映っているものではなく、その背景にあるものに耳を澄ますことでしか見えてこない。

木村満里子

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ABOUT THE MOVIE

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  • カポーティ
  • 05年度アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚色賞の5部門にノミネートされ、カポーティ本人に生き写しの演技を披露したフィリップ・シーモア・ホフマンが主演男優賞を受賞した話題のドラマ。1959年11月15日、カンザス州ホルカムで農家の一家が惨殺される事件が発生。「ティファニーで朝食を」で名声を高めた作家トルーマン・カポーティは、この事件に興味を覚え、小説「冷血」の執筆を決意し、現地へ飛び、事件の容疑者ペリーと面会する……。
  • 原題:
    Capote
    監督:
    ベネット・ミラー
    脚本:
    ダン・ファターマン
    撮影:
    アダム・キンメル
    音楽:
    マイケル・ダナ
    出演:
    フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、クリス・クーパー、クリフトン・コリンズ・Jr.、ブルース・グリーンウッド
    製作国:
    2005年アメリカ映画
    上映時間:
    1時間54分
    配給:
    ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 9月30日よりシャンテシネ、恵比寿ガーデンシネマにてロードショー
  • オフィシャルサイト

カポーティ

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