愛の世紀 : 新作映画評論

掲載作品数22807

ミラーズ

新作映画評論

愛の世紀 愛の世紀

愛の世紀

4月13日より、日比谷シャンテ・シネにてロードショー

「映画愛」に迫る21世紀初のゴダール映画

画像

黒く濡れたような舗道、ぼんやりと白く光る街灯、走り去るクルマ。ジャン・ピエール・メルビル映画かと見まがうばかりの“パリところどころ”を切り取った、前半の白黒映像が圧倒的に美しい! 若き芸術家エドガー(ブリュノ・ピュツリュ)の創造と挫折が描かれるのだが、年代の違う3組のカップルで愛における4つの瞬間──出会い、肉体的愛、別れ、再会を描く企画を構想するものの、映画、舞台、小説、オペラのどれになるか分かっていない。“レ・ミゼラブル”な結果に終わるのだが。

後半は一転して、ブルゴーニュへのエドガーの旅の回想がカラーで描かれる。金色の入り江に浮かぶ小舟、海辺の部屋までも青く染める小波など、鮮烈な色彩に目を奪われる。まるでデジタルカメラをもてあそぶゴダール監督の喜色満面の顔が思い浮かぶようだ。

ベルグソン、シモーヌ・ベイユ、「トリスタンとイゾルデ」、スピルバーグ、ロベール・ブレッソン、アウグスティヌスなど、本、絵画、音楽、映画からのおびただしい「引用」も挑発的だ(とくにハリウッドへの痛烈な皮肉が笑える)。断片的映像に豊穣なセリフや字幕、ミニマルな音楽をかぶせるゴダール話術はまさに老練のきわみだ。五感を刺激してやまないイメージが脳裏を駆け足で通り過ぎてゆく。21世紀最初のこのゴダール映画ほど、「映画愛」に迫った悲喜劇はない。

(佐藤睦雄)

ブックマーク: この記事をYahoo!ブックマークに登録する この記事をはてなブックマークに追加する この記事をlivedoorクリップに登録する この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をnewsingにピックアップする

ABOUT THE MOVIE

  • 愛の世紀 画像 [拡大画像]
  • 愛の世紀
  • 現在をモノクロフィルムで、回想をカラーのデジタル撮影で描く、ゴダール久々の新作。 愛について描く新作のため、オーディションをする芸術家エドガー。彼は、ヒロインに相応しい女性に2年前会っていることを思い出す。彼女は、レジスタンスの歴史を調べていて出会った、かつてレジスタンスの闘志だった老夫婦の孫娘だった。老夫婦の回想録の映画化を巡り、ハリウッドのエージェント、国防省の役人らが彼らの周囲に出没する。
  • 原題:
    Eloge de l'Amour
    監督・脚本:
    ジャン=リュック・ゴダール
    製作:
    アラン・サルド、ルート・バルトブルゲール
    出演:
    ブリュノ・ピュツリュ、セシル・カンプ、ジャン・ダビィー
    製作国:
    2001年スイス映画
    上映時間:
    1時間38分
    配給:
    プレノンアッシュ
  • オフィシャルサイト

愛の世紀

  1. 作品ページ
  2. 映画レビュー
  3. 注目特集
  4. 映画評論
  5. 動画・予告編
  6. フォトギャラリー
  7. DVD・ブルーレイ
  8. けいじばん
  9. 映画館検索

- PR -

ミラーズ

ガイド

新作映画評 人気映画評論家による最新作批評のコーナー。近日公開または公開中の最新作の中から編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介。更新は、毎週火曜日。

読み込み中...
© eiga.com inc. All rights reserved.