劇場公開日 2002年10月26日

トリプルX : インタビュー

2002年10月18日更新

久々の痛快アクション大作「トリプルX」で日本でも大ブレイクの予感、ビン・ディーゼルの素顔をロサンゼルスで町山氏がキャッチ! 素顔も映画とそっくり?

ビン・ディーゼル インタビュー

「昔からずっと、オレはスターになると確信していた」

町山智浩

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「昨晩は悪夢を見たぜ」

ビン・ディーゼルはニヤリと笑って言った。

「世界中のガキどもの部屋がオレのグッズでいっぱいなんだ。歯ブラシからパジャマまでな」

照れずにこんなことを言える奴はめったにいない。

「昔からずっと、オレはスターになると確信していた。いや、もう自分はスターなんだ、と思っていたんだ。実際は、ディスコの用心棒とか電話でのセールスで暮らしてたけどな」

用心棒はお似合いだが、「アイアン・ジャイアント」でおなじみの野太い声で商品を売りつけられた客はきっとカツアゲされた気分だったろう。

映画俳優を目指したビン・ディーゼルだが、受けたオーディションには片っ端から落とされた。アフリカ系か? と聞かれることが多かった。

「オレはその種の質問には答えないことにしている」

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仕事が来るのを待ってもしょうがない。彼は自分で金を集めて自分が主演の映画「マルティ・フェイシャル」を作った。俳優志願のディーゼルがオーディションにあわせて違うエスニシティになりすますという短編だ。これを観たスティーブン・スピルバーグは「プライベート・ライアン」にディーゼルをイタリア系の青年兵士役で抜擢。以降、メキシコ系を演じた「ワイルド・スピード」は全米ナンバーワンの大ヒットとなる。「ワイルド・スピード」の監督ロブ・コーエンは言う。「彼はどんな人種にも見える。あらゆる人々が彼に感情移入できるんだ」

そしてコーエンはディーゼルを「トリプルX」に誘った。

「世界を救うスパイ? このオレが? 最初は断ったね。ガラじゃない。でもコーエン監督に説得されたんだ。オレの役は今まで演ってきたのと同じ、アウトサイダーだって」

トリプルXは保守的な政治家の車を盗んで崖から投げ捨て、それをインターネットで世界に放送して遊んでるアナーキー番長。ところが「毒には毒を」と考えたアメリカ政府によってテロ組織と戦わされる。

「そこに同時多発テロが起こった。オレは世界貿易センターの近所で育ったんだ。ヒーローとして死んだ消防士たちはインテリやエリートじゃない。オレのようなブルーカラーだ。で、オレは『トリプルX』をやることにしたのさ」

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実はディーセルも実生活ではヒーローだった。事故で転覆して煙を噴き出した自動車から老人を助け出し、名前も告げずに去り、後に目撃者によって彼のお手柄だと判明したのだ。

「とにかくタキシードを着てマティーニを嗜むジェームズ・ボンドはもう古いよ。トリプルXはジーンズにスキンヘッドにタトゥーだぜ」

ちょっと惜しいのはタトゥーがニセ物だってこと。

「いや、マジで彫ってもいいと思ったけどやめた」。ディーゼル番長は頭を掻きながら言った。

「次の映画はローマ帝国に挑んだハンニバル将軍の役だからさ。紀元3世紀にタトゥーがあったかどうかオレ、知らないんだよ(笑)」

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