劇場公開日 2007年4月22日

V フォー・ヴェンデッタ : インタビュー

2006年4月21日更新

独裁主義国家となった近未来のイギリスを舞台に、政府転覆を企む謎の人物“V”の活躍を描いたアラン・ムーアの同名コミックを「マトリックス」の製作チーム、ジョエル・シルバー&ウォシャウスキー兄弟が映画化した「Vフォー・ヴェンデッタ」。「マトリックス」のエージェント・スミス役から一転、今度は謎のテロリストVを演じたヒューゴ・ウィービングが日本公開を前に来日。インタビューに応じてくれた。(聞き手:編集部)

ヒューゴ・ウィービング インタビュー
「平和的に世の中を変えていく革命は必要かもしれないね」

顔を出しまくった「マトリックス」から一転 今回は一切顔を見せないヒューゴ・ウィービング
顔を出しまくった「マトリックス」から一転 今回は一切顔を見せないヒューゴ・ウィービング

――「マトリックス」3部作に出演したことによって、本作のプロデューサーでもあるジョエル・シルバーに何か恩義を感じることはありますか?

「昨日、ジョエルには日本料理の美味しい店に連れて行ってもらったよ。良いホテルとレストラン、それだけで恩義を感じるね(笑)。もちろんウォシャウスキー兄弟にもなんだけど。お互いにコラボレーションだから、彼らも私の努力を感じていると思うけどね。お陰さまで経済的な面では、随分と生活が変わったよ(笑)」

――今作では、劇中ずっと仮面をかぶっている役でしたが、何かデメリットを感じたことはありましたか?

「私にとって俳優の仕事とは、キャラクターになりきること。注目を浴びるべきなのはキャラクターであって、俳優自身にスポットが当たるべきではないんだ。時々、キャラクターではなく俳優自身の顔を売っている人がいるけど、彼らは俳優ではなくセレブリティと呼ばれているね(笑)。私は俳優としてキャラクターの造形、肉付けに全力を注いだので、仮面をかぶることがマイナス要素だとは全く思わなかったよ」

――今回はいわゆるテロリストを演じています。この映画に出演することによって、テロリストに対して共感を持つようなことはありましたか?

仮面をかぶった謎のテロリスト“V”
仮面をかぶった謎のテロリスト“V”

「現在、我々がメディアで目にする“テロリスト”が、何故“テロリスト”になったのか? 多くの人は、圧迫されているが故にあのような行動にでるんだと、頭では理解している。しかし、私たちは彼らに“テロリスト”というレッテルを貼るだけで切り離しているんだ。それだけでは何も変わらないと思う。何故そうなるのかを理解し、そこを変えていかなければ、世の中は変わっていかないんだ。だからといって、暴力を使うことには賛成しかねる。暴力を使うことは絶対に建設的ではない。だからこの映画は、なぜテロリズムに走るかという理由を明かしている。それが一番重要な部分なんだ」

――Vの行動は国家に対する復讐だと思います。劇中、収容所での虐待がなければ、このような行動はしなかったと思いますか?

果たしてVの革命は成就するのか?
果たしてVの革命は成就するのか?

「もちろん、あのような経験がなくても彼、Vは政治的なことを発言する人ではあったと思う。しかし、虐待を受けたことにより、彼はよりラジカルになったんだ。ラジカルということは危険だ。暴力を使うようになってはいけないが、あの経験があったからこそ、そういう人になったのだと思うよ」

――アメリカが世界の中心であるかのような現代の大量消費社会には、やはり革命は必要だと思いますか?

「革命には色々ある。賢く、ゆっくりと、人々の様子をみて同調させながら変わっていく革命は良いと思うけど、突然で衝撃的に起こる革命は非生産的だし、人々が順応できない革命はいけないと思う。やはり長い時間をかけて、徐々に平和的に世の中を変えていく革命は必要かもしれないね」

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