劇場公開日 2005年10月1日

セブンソード : 映画評論・批評

2005年9月27日更新

2005年10月1日より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー

ツイ・ハークが東洋版「ロード・オブ・ザ・リング」を撮ると

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17世紀の中国、異なる不思議な力を秘めた7つの剣、それを持つ7人の剣士が集って悪を倒す、つまりお話は大昔のサイボーグ009やアストロ球団と同じ。だがこの映画がよくある娯楽アクションと一線を画すのは、その映像が徹頭徹尾あるひとつの美意識で貫かれている点だろう。砂漠を走る騎馬軍団の持つ旗の、その先端で反り返る羽飾りの曲線までもが、ひとつの美意識で貫かれているのだ。

その美意識とは、監督ツイ・ハークが定めた“21世紀の東洋の美”。それは水墨画と中華紋様と香港フィギュアとパンク・リバイバルを並立させるアジアの今の美意識だ。大自然を活かした映像、細部まで意匠に凝った武具等は東洋版「ロード・オブ・ザ・リング」だが、こちらの意匠はより自在。中国奥地でロケした映像の荒れた粒子は水墨画の幽玄を漂わせるが、悪の軍団の兵士達はそのままマクファーレン・トイズがフィギュア化してもおかしくないパンクでゴシックな扮装なのだ。

ここで思い出すのはリドリー・スコット監督の挿話。彼は「キングダム・オブ・ヘブン」のイスラム兵の武器を半月刀にしたかったが当時の造型は異なるので断念したという。ツイ・ハークなら迷わず半月刀にするだろう。

平沢薫

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