劇場公開日 2002年4月27日

アザーズ : インタビュー

2002年4月2日更新

あのトム・クルーズがピックアップした、スペインの鬼才、アレハンドロ・アメナバール。この注目の監督に、ロサンゼルスで小西未来氏が直撃取材。クルーズとのやりとりから創作の秘密まで、大胆かつ率直な語りぶりに若き才人の素顔が垣間見られるホットなインタビューだ。(聞き手:小西未来

アレハンドロ・アメナバール監督 インタビュー
「尊敬する監督は、ヒッチコックとキューブリックとスピルバーグ」

――どういった経緯で、トム・クルーズがプロデュースをやることになったのですか?

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「トムがぼくに会いたがってるって話を人から聞いてたんで、とりあえず、『アザーズ』の脚本を送ってみたんだよ。ただ、こういう話って、ほとんどの場合当てにならないから、期待してなかったんだけどね。すると、トムのほうから『プロデュースしたい』って言ってきてくれて、そのあと、今度はニコールが主役をやりたいって言ってきてくれて。すべてがあっという間に決まったんだ」

――トム・クルーズはあなたの「オープン・ユア・アイズ」の大ファンで、リメイク(「バニラ・スカイ」)を作るときも、あなたに声をかけたそうですね。

「うん。ぼくには同じ映画をもう一度作る気にはなれなかったんだ。たいして時間も経っていなかったしね。だから、『ぜひとも一緒に仕事をしたいけれど、できれば違ったストーリーでやりたいな』って断ったんだ」

――それで「アザーズ」を一緒にやることになるのですね。

「その通り」

――トム・クルーズがあなたを好きなのは、キューブリックの影響を受けているからだと思います。そのことについてはどう思いますか?

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「ぼくが尊敬している監督は3人いて、ヒッチコックとキューブリックとスピルバーグなんだ。だからこの映画を撮影してるときも、『あれ、このショット、キューブリックの映画にもあったな』なんて、自然に影響されてしまっている自分に気づいたことが何度もあってね。もちろん、ヒッチコックの影響も受けているけど、一番大きいのはやっぱりキューブリックなんだろうね。キューブリックのように、シンプルかつ明確な目的をもって、カメラを操るのが好きだから」

――大きな屋敷を舞台にしたところは、「シャイニング」を思わせます。

「それもあるけど、ぼくとしては40年代、50年代にあったようなゴシックストーリーをやりたかったんだ。この手の映画には必ず悪魔的なものが存在して、最後には、善悪の激しい戦いになるっていうおきまりになってる。でも『アザーズ』には、善悪が存在しない。すべてのキャラクターが複雑で、簡単に色分けできないようになっていて。つまり、古典的形式を新しい視点から描いてみたんだ」

――あなたの映画は構造が何層にもなっていて、最後にある種のサプライズが必ず用意されていますよね。

「はじめのころは無意識にやっていたんだけど、いまでは意図的にそういう要素を入れてる。とにかく観客に楽しんでもらいたいという一心でね。自分の映画には必ず2つの層を作ることにしてるんだ。まず表面の層は、一般の観客向け。映画館に行って、ただ楽しいときを過ごしたいという人たちのためのストーリーだ。そしてその奧に、もう1つの層を用意してる。これは、普通の映画では物足りないと思ってる観客と、自分自身のため。ストーリーテリングだけだったら退屈だからね」

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