ピクサーのドラマ設定のウマサに今回も脱帽
ファンの人ならとっくにわかっていると思うけど、ピクサー映画の最大の魅力は、その卓越したストーリーテリング術だ。CG技術やキャラクターデザイン、あるいは企画のうまさだったら、他のスタジオだって対抗できるかもしれない。でも、素晴らしい物語を作るだけでなく、それを上手に伝える術に関しては、ピクサーのクリエイター集団に敵うものはいないと思う。
最新作「ファインディング・ニモ」は、人間に捕らえられた息子のニモを救出するため、大海を渡る熱帯魚の物語。見知らぬ土地での出会いやトラブルなどの「イベント」を経験していくうちに、主人公が成長を遂げていくという、いってみればロードムービーである。
しかし、ありきたりの物語になっていないのは、その設定やイベントが、リアルでありながら意外性に満ちているから。たとえば、旅のパートナーとなるドリーは、大事なことを10秒と記憶していられない「メメント」な魚だ。過去の記憶にひきずられている主人公を際だたせるための、巧妙にしてユーモラスな設定である。こんな仕掛けが満載だから、たとえハッピーエンドになることがわかっていても、物語世界にどっぷりと浸ることができるのだ。
(小西未来)
