劇場公開日 2005年7月23日

アイランド(2005) : インタビュー

2005年7月22日更新

「バッドボーイズ」から「ザ・ロック」「アルマゲドン」「パール・ハーバー」まで、送り出す映画のほとんどが興行的な成功を収める、文字通りのヒットメーカー、マイケル・ベイ監督。その最新作は、クローン技術が可能になった世界を舞台に繰り広げられる近未来SFで、トレードマークともいえるアクションも満載だ。本作の公開を前に来日した監督に、インタビューした。

マイケル・ベイ監督インタビュー
「観客に映画の中にいるような臨場感を味あわせたいんだ」

聞き手:編集部

ブラッカイマーと離れて、改めて手腕が問われる マイケル・ベイ監督
ブラッカイマーと離れて、改めて手腕が問われる マイケル・ベイ監督

――今回は、これまでずっとコンビを組んでいたプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーから離れて映画を作られましたが、いかがでしたか?

「もちろん、ジェリーがいないと寂しいけど、今回はなんといっても、あのスティーブン・スピルバーグのドリームワークスとの仕事だからね。楽しくやれたよ」

――あなたの映画には必ず多量の「破壊」シーンがありますが、どういった理由があるのでしょう?

「これはアクション映画で、ポップコーン映画でもあるんだ。モノをたくさん破壊しまくることで、主人公の2人がいかに『生きたい、生き残りたい』かを表現しているんだ」

――「破壊の美学」のようなものお持ちですか?

「何かが派手に壊れるのを見るっていうのは、まあ、夏の楽しみのようなものだよ」

――ぐるぐる回るカメラやペリコプターのプロペラのスローモーションといったおなじみのショットには、何か演出上の意図はあるのでしょうか?

今回も車やヘリを駆使したアクションが満載
今回も車やヘリを駆使したアクションが満載

「僕は、アクション映画ではビジュアルにこだわるんだ。観客に映画との距離を感じてほしくないからね。だから、ああいうシーンを入れることで、観客に映画の中にいるような臨場感を味あわせたいんだよ。要は疑似体験をしてもらいたいということだね。『パール・ハーバー』では爆弾にカメラをつけて撮ったりと、新しい試みもした。まあ、映像的に特徴があって、これが“マイケル・ベイ・スタイル”というのが分かると思うよ」

――どのような映画作家の作品を観て、そのスタイルを創ったのでしょう?

「(スタンリー・)キューブリック、(マーティン・)スコセッシ、スピルバーグといった監督たちや、サム・ペキンパー、ジョン・フォードといった昔の西部劇もそうだね。最近の監督では、コーエン兄弟とリドリー・スコットの映画も好きだよ」

――「アイランド」の脚本を読んで、一番「これを映像化したい」と思った場面は何でしょうか?

「シナリオは後半部分にたくさん手を入れたけど、最も撮りたいと思ったシーンは、クローンの女性が子供を産んで、その直後に殺されるところなんだ。あのシーンは、僕にとってとても美しい形での悲劇への転換点なんだ。脚本段階では、あの看護婦はいなくて、彼女がストラップを掛けるシーンを付け加えるとともに、彼女が毎日の仕事であるのも関わらず、その仕事に対して嫌気を感じている心の中の葛藤を描いたんだ」

施設のなかで暮らす主人公たち
施設のなかで暮らす主人公たち

――スティーブ・ジャブロンスキーのスコアは、ハンス・ジマーの「M:I-2」に似ていましたが?

「まあ、彼はハンス・ジマーの弟子だからね。劇中、施設の中ではエレクトリックな音楽だったのが、一転、外へ出るととてもシンフォニックな音楽になるんだ。そこが気に入ってるよ。彼は素晴らしい作曲家になるよ」

――これからもアクション映画一本で行くつもりですか? それとも、他のジャンルを撮りたいと思っているのでしょうか?

「もちろん、色々違ったジャンルに挑戦したいよ。シリアスなドラマもやりたいし、もう少し小さい映画もやりたいしね。まあ、6本もポップコーン・ムービーを作ったから、これからは何か違うことをやるつもりだよ」

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