劇場公開日 2004年12月4日

Mr.インクレディブル : インタビュー

2004年12月1日更新

eiga.com編集部では来日したプロデューサーのジョン・ウォーカー氏にインタビュー。スタジオジブリとピクサーの関係など、いろいろ話を聞いてみた。(聞き手:編集部)

ジョン・ウォーカー プロデューサー インタビュー
「ジブリとピクサーの友好関係は本物だよ」

来日したプロデューサーのジョン・ウォーカー
来日したプロデューサーのジョン・ウォーカー

来日したプロデューサーのジョン・ウォーカージョン・ウォーカー氏は、「アイアン・ジャイアント」でもブラッド・バード監督と一緒に仕事をした間柄。名作と誉れ高い「アイアン・ジャイアント」だが、今また「Mr.インクレディブル」でバード監督の名声は高まろうとしている。そんなバード監督を彼はこう評する。

「彼は物語を紡ぎ出すライターとして素晴らしい力をもっているし、確固としたアイデアをもち、それを明確に相手に伝えることができるんだ。また、映画作りに必要な様々な分野――演技、音楽、デザイン、編集など――に関して、知識・才能がとても豊富だ。とにかく、かなりすごい映像作家だと思っているよ」

そんなバード監督とともに、現在はピクサー社の社員として働くウォーカー氏。最近は他のスタジオもCGアニメで追い上げてきているが、それらのスタジオとピクサーとの違いはどこにあるのか。

「現場で製作に携わるフィルムメーカーたちによって運営されているスタジオ、ということだね。そして、才能豊かな監督を抱え、彼らがアイデアを出しあって映画を作っている。会社が作る映画を決めて、それを監督に割り振るのではなく、監督のほうから“こうした映画が作りたい”というアイデアを出して作るわけですから、作り手が本当に作りたいものが生まれるんだ」

“クリエイターが自分の作りたいものを作る”ということは、バード監督の答えと一緒。これまでのピクサー作品は、そうした社内の監督たちによって作られていたが、今回は初めて外部から企画を持ち込んだバード監督によって生み出された。

「ピクサーはマンネリ化を恐れていて、フレッシュな人材を求めていたと思う。そして、彼らは『アイアン・ジャイアント』を気に入ってくれていたから、ブラッドに白羽の矢が立ったんだ。ただ、私たちはフルCGは初めてで、一から勉強しなくてはならなくて大変だったけれど、結果的にとても良かったと思っているし、彼ら(ピクサーの人々)もそう思ってくれていると思うよ」

ジブル美術館で開催された 「ピクサー展」には 「Mr.インクレディブル」の展示も
ジブル美術館で開催された 「ピクサー展」には 「Mr.インクレディブル」の展示も

ところでピクサーといえば、スタジオジブリとの交流は有名な話。日本では本作と「ハウルの動く城」がほぼ同時期に公開されるわけだが……。

「そう、実はなるべく公開日をずらそうという努力はしていたんだ。ただ、一緒に公開することで、相乗効果があるだろうと考え、同時期の公開になった。おっしゃる通り、ジブリとピクサーの友好関係は本物だよ(笑)。以前、ピクサー社で『ハウルの動く城』の上映会が開かれたけど、ブラッドも含め、みんなとても楽しんでいた。私はその時、出張していて観られなかったけれど」

“ピクサーとジブリの友好関係”を表わす証拠に、「ハウル」の東京・大阪のメイン劇場(日比谷スカラ座、ナビオTOHOプレックス)では、「Mr.インクレディブル」の予告編が、「Mr.インクレディブル」の東阪メイン劇場(丸の内ピカデリー、梅田ピカデリー)では、「ハウル」の予告編が流されている(シネコンではない東宝、松竹の各直営劇場で、互いの上映作品の予告編を流すというのは異例)。また、東京・三鷹のジブリ美術館では「ピクサー展」が開催中だし、ジブリ出版部が編集した「ジ・アート・オブ Mr.インクレディブル」も日本で発売される。

「日本の観客の皆さんには、是非“アニメの日”というのを決めてもらって、『Mr.インクレディブル』と『ハウル』を1日で両方観て楽しんでほしいですね」

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