劇場公開日 2003年8月16日

「無名(ウーミン)」HERO(2002) みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0無名(ウーミン)

2016年2月23日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

アン・リー監督の『グリーン・デスティニー』と共に、ワイヤーアクションを芸術の域まで高めた色彩豊かな武侠映画。
のちに始皇帝と呼ばれるカリスマ君主の秦王(しんおう)は、命を付け狙う刺客から身を守るために、側近以外の者は百歩以上近付く事を許さなかった。
中国統一と言う野望の一番近くにいた男は、友と呼べる者もなく孤独であり、その唯一の理解者が趙の国からの刺客だったという皮肉。
チェン・ダオミンの気高く豪放磊落な佇まいは、本物の秦王もきっとこんな人物だったのでは、と思わせるほど説得力がありました。
ちなみにチャン・イーモウ監督は、彼を中国最高の俳優だと誇っている。
また十歩の距離でなら確実に相手をしとめる「十歩一殺」の使い手・無名(ジェット・リー)が、一歩また一歩と徐々に秦王に近づいて行く様子は、実にスリリングでした。
そして気が付けば、無名は(秦王が誰にも見せなかった)彼の心の深層部にも近づいていたわけです。
名カメラマン、クリストファー・ドイルによる山水画を思わせる撮影も、溜め息が出るほど綺麗。

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みつまる。