ファンタスティック・フォー 超能力ユニット : 特集

2005年9月12日更新

最新のVFXがふんだんに盛り込まれ、アメコミの古典的名作を現代に甦らせた「ファンタスティック・フォー」。その映像は、どのように作られていったのか? 昨年10月、カナダはバンクーバーにある撮影現場を訪れたライターの荻原氏が、その現場の様子をレポートしてくれた。

バンクーバー・セットビジットレポート その1――セット見学編

レポート:荻原順子

撮影中の監督とキャスト
撮影中の監督とキャスト

宇宙雲の高エネルギー光線を浴びたことによって超人的な能力を身に付けた4人が活躍する「ファンタスティック・フォー」の撮影は、カナダのバンクーバーで行われていた。バンクーバーの郊外に在るバンクーバー・フィルム・スタジオを訪れたのは去年の10月。まだまだ暖かいロサンゼルスとは違い、しっかり秋が訪れていて小雨のぱらつく肌寒い日だった。

スタジオに着いた我々を迎えてくれたのはアソシエート・プロデューサーのデビッド・ゴーダー。彼の案内で、スタジオ内に建造されたMr.ファンタスティックことリード・リチャーズの研究室や、ファンタスティック・フォーのメンバーたちが暮らす居住セクションなどのセットを見て回った。いずれも、鉄やレンガなどの建材が多用された産業施設を転用したロフトっぽい雰囲気のデザインで、いかにも物語の舞台になるニューヨークにありそうな感じにしつらえてある。

宇宙ステーションのセット内
宇宙ステーションのセット内

これらのセットを観た後、いったん外に出て、ビジュアル・エフェクツ・スーパーバイザーのカート・ウィリアムズを訪ねる。カートの仕事は、彼の言葉を借りると、監督のティム・ストーリーに「登場人物たちを構築するためのツールを提供すること」だそうだ。「ファンタスティック・フォー」はコミックの映画化とはいえ、監督は、アニメーションっぽい映像は極力避け、実写映画らしいリアリティをできるだけ盛り込むことを目指しているという。「それを実現させるための最重要ポイントは、登場人物の体をゴムのように伸び縮みさせたり、全身火だるま状態にしたり、透明にしてしまっても、なお人間特有の“生身感”を残すことなんだ」とカートは語る。例えば、Mr.ファンタスティックが腕を伸ばす際には彼の皮膚や筋肉がどのような状態になるかを解剖学的見地にのっとって映像化するし、ヒューマン・トーチについては燃焼温度によって火のレイヤーの重ね具合を変えてリアリティを出すように工夫したそうだ。

ティム・ストーリー監督
ティム・ストーリー監督

カートの話を聞いた後は、美術部に立ち寄り、デザイン画や模型、小道具等を見せてもらってから、再びスタジオ内のセットに戻る。セット見学の最後は、Dr.ドゥームが君臨するバン・ドゥーム・インダストリーズの本社ビル。ファンタスティック・フォーのメンバーたちが宇宙波を浴びた体を回復する部屋や、ビルの最上階に位置するというアールデコ風に装飾されたゴージャスなDr.ドゥームのオフィス等を観て回った。「ファンタスティック・フォー」はバンクーバーで撮影されたが、物語の舞台はニューヨークになっているので、Dr.ドゥームのオフィスの窓には、ニューヨークの夜景のパノラマ写真が取り付けられていた。昼バージョンもあるそうだが、映画の中ではこの作り物が、しっかりニューヨークの本物の景観に見えるのだから、まさにムービー・マジックだ。

ムービー・マジックの舞台裏を覗かせもらった後、私達は記者会見式インタビューの会場に向かった。

>>その2に続く

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

「ファンタスティック・フォー 超能力ユニット」の作品トップへ