エクソシスト ディレクターズ・カット版

劇場公開日:

解説

1970年代のオカルト映画ブームを牽引したホラー映画の金字塔「エクソシスト」(73)に15分間の未公開シーンを追加したディレクターズ・カット版。女優のクリスは、一人娘リーガンの12歳の誕生日を祝おうと友人達を招待した。夜更けまでパーティーが盛り上がっていると、突然、寝室から降りてきたリーガンが、客に汚い言葉を吐き、しかも、立ったまま放尿した。そしてその夜、リーガンの部屋から、突然大きな悲鳴が聞こえてきた。駆けつけたクリスが見たものは、激しく揺れるベッドと、その上で泣き叫ぶ娘の姿だった……。

2000年製作/131分/G/アメリカ
原題:The Exorcist: The Version You've Never Seen
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2000年11月23日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

特集

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1

(C)2000 Warner Bros. All rights reserved.

映画レビュー

4.0日本にオカルトブームを巻き起こした衝撃作。 原作兼脚本のウィリアム・ピーター・ブラッティと監督のウィリアム・フリードキン執念の完全版!

2024年2月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

午前十時の映画祭13にて。

この“ディレクターズ・カット版”の公開は2000年とのことだが、私は勤務先の後輩と劇場に行った記憶がある。
リンダ・ブレアが演じる少女リーガンのブリッジ背面歩行(スパイダーウォーク)が追加されたことが、宣伝のポイントだった気がする。
遡って、オリジナル版が日本で公開された1974年は私は小学生で劇場には入れず、初鑑賞はテレビの洋画番組だった。(※)

悪魔祓いの場面は案外短く、病院での検査が延々と映し出される。オリジナル版ではカットされていた初期の検査シーンも復活しているから尚更だ。
もっぱら恐怖映画の代表作に位置付けられている本作だが、難病と闘う人間ドラマだとも言える。

少女リーガンを襲う症状は尋常ではなく、医学的な解明ができない。途方に暮れた医師団が悪魔祓いを奨めるという驚きの展開に、母親(エレン・バースティン)は当然激昂する。優秀な医師たちが雁首そろえて出した答えがそれか…と。
しかし、科学者(医師)たちが非科学的な方法に頼ったわけではなく、悪魔を追いはらったという暗示の効果を期待した苦肉の策だというのが、あり得ないがリアルだ。
ここでは母親の悲嘆と怒り、医師団の無力感が描写されている。

母親は有名な女優。裕福で交友範囲も広いが、娘をめぐって別れた夫との言い争いが継続している。
医師団の提案を拒絶したものの、その後の娘の症状の異様さから悪魔憑きだと確信する。

カラス神父(ジェイソン・ミラー)は、教会の資金援助で医師の資格を得ているが、神父として多額の報酬を得ることはできず、遠く離れて暮らす年老いた母親のケアができない。教会と私生活との板挟みで、信仰心に揺らぎが見られる。
医師でもあるので当初は悪魔祓いに否定的だった。

メリン神父(マックス・フォン・シドー)は、悪魔祓いに精通しているベテランで、参加していた発掘調査の現場で発見した悪魔の像が恐怖の予兆だと直感していた。
深刻な心臓の病気を抱えている。

少々ひねった見方をしてみると、こうだ…。

この映画の結末は、カラス神父が悪魔を自分に呼び込んで自分もろとも葬ったのか、悪魔がカラス神父に乗り移って彼を殺したのか、どちらにも解釈できる余地を残している。
が、そもそも悪魔はいなかったと解釈できる余地も残していると言えないか。

母親やカラス神父が悪魔の仕業だと確信するほど、リーガンの症状には超自然の作用が見えるし、ポルターガイスト現象なども起きている。
たが、リーガンが知らないはずの事実を喋ったり、知らない卑猥な言葉や不明な言語を発したのには苦しいながらも説明がついていた。
ベッドが触れたり身体が宙に浮いたりする現象は、ダイアー神父(ウィリアム・オマリー)やキンダーマン警部補(リー・J・コッブ)の目の前で起きたわけではない。
病院の検査で医師に対して男の声で罵ったり、同居の使用人が目撃したりはしているが。

つまり、リーガンは原因不明の精神疾患から身体に異常が出ているが、超自然的な現象は心に闇を抱えた者だけが見た幻覚だったのではないか。
リーガンが回復したのは、医師団が期待した暗示効果によるものだったのだ。

さぁ、どうでしょ!

多くの人が指摘しているが、カラス神父がリーガンの言葉を録音したテープを聴く施設に「TASUKETE!」と書かれた貼り紙がある。このあと、リーガンの腹部に「HELP」という文字が浮き上がってくる場面に続くので、どういう意図なのかと話題になった。だが、その部屋には明らかに日本の文字(を模した)の「?うより慎れよ」という意味不明の貼り紙もある。
映像に怪奇現象が映り込んでいるという噂もあったが、フリードキン監督がサブリミナル効果を狙って細かいカットを挿入したりしている。
日本語の貼り紙もフリードキンの遊びなのだろう。東映ヤクザ映画のファンだったらしいので。

※私の記憶が確かなら……
オリジナル版の公開時はかなりの話題だった。アメリカでは原作小説がベストセラーで、映画化された本作もヒットしていたから配給側の期待は高かっただろう。かなりのパブリシティが展開されていたと思う。当時の小学生にとってはテレビが最大の情報源だったから、テレビで頻繁にとりあげられていたのだと思う。
ところが、私の郷里では12歳以下入場禁止のローカル・レーティングが適用され、劇場で見ることが叶わなかった。非常にガッカリしたのを覚えている。観に行った母親から感想を聞いたことを覚えている。
テレビ放映は、調べてみるとTBSの1980年が最初らしい。ということは、荻昌弘氏が解説する月曜ロードショーだろうが、意外と遅かったのだ。このテレビ放映も注目を集めていて、学校でも話題になっていた。思えば高校卒業目前だったのだが、これも記憶では中学生くらいだった気がするのはなぜだろうか。
1980年といえば、かの『13日の金曜日』が発表された年だ。オカルトブームは映画から離れてサブカルチャーのジャンルの一つになっていて、映画界は間もなく空前のスプラッターブームを迎えるのだった。

コメントする 1件)
共感した! 3件)
kazz

3.5数十年ぶりの鑑賞でこのバージョンは初めて

2023年12月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

映画監督役のジャック・マッゴーランやカラス神父の母親を演じたバシリキ・マリアロスが公開直前に死亡。他全員で関係者9人が死亡し、さらには死者こそ出なかったが、火事でセットが全焼し事態を重く見たワーナー・ブラザースがセットを作り直したときに悪魔祓いの儀式をすることを提案したという呪われた映画。
悪魔の声を演じたマーセデス・マッケンブリッジはハスキーボイスが魅力の個性派のアメリカの女優。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ナイン・わんわん

4.0闇の中からじっと覗いている

2023年9月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

オジサン涙目でした。オリジナルは子供の頃にTV放映で観たかな?位な感じ。それでも、超が付くメジャータイトルなので知ってるつもりが満ち満ちでしたが、全く印象の違う作品でした。どうやら色んなものが脳内合成されていたのだろう…笑。
思いの外本題に入るのを出し渋ってる展開でしたが、母親と娘ちゃんと神父&神父其々が心の闇に抱えてるモノをボンヤリと見せてくれたので、後半に至る頃には完全に世界の中に閉じ込められた感覚に陥っておりました。ひたすら淡々としているのに、要所要所でめっちゃ怖い。監督が"怖すぎるからダメ!ぜったい"と言っていたのが分かる「ディレクターズカット版」になっておりました。フリードキンおそるべし。

コメントする 2件)
共感した! 2件)
lynx09b

5.070年代は作りが超丁寧

2023年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

終活のため午前10時の映画祭鑑賞。

出だしのイラク発掘現場も怪しい感満載。
リーガンが徐々におかしくなっていくのと
カラス神父がオカンの死でトラウマになるのが
並行して映し出され
当時の最新病院機器での検査風景(現代はもっと痛くないよね)
が入り込んでくる。

で、いよいよ悪魔的所業開始。
バックドロップしながら階段を下ったり
クビが回るし、おしっこ漏らすし、ゲロ吐くし
リーガンのオカンをひっぱたくし
(このシーン迫力出すためにピアノ線をエレンバースティンに
 くくりつけ、監督のフリードキンは操演者に死ぬ気で
 あの女を引っ張れ、と指示。
 絶叫とその後の痛そうな芝居はマジだったわけです)
そういったショッキングな描写と対照的に
医者に卑猥な言葉を浴びせる
カラス神父オカンの病院行きと死
謎を呼ぶ殺人事件
などは具体的表現を避けセリフだけで終わらせメリハリをつける。

ここまであらためて観ても息をつく暇がなく
メリン神父登場は残り試合30分(ここまで100分かかった)
悪魔付きリーガンのアップだけでいよいよ決戦!を盛り上げる。

テーマ曲チューブラーベルズはこれぞ映画のテーマ曲
といえる決定版。(映画のためのオリジナルではないが)
ディレクターカット版は2000年にも見たが
初回上映1973年からちょうど50年
拙も年をとったもんです。
100点
京都シネマ 20230925

コメントする (0件)
共感した! 4件)
NWFchamp1973
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る

「エクソシスト」シリーズ関連作品

他のユーザーは「エクソシスト ディレクターズ・カット版」以外にこんな作品をCheck-inしています。