劇場公開日 2007年1月20日

ディパーテッド : インタビュー

2007年1月25日更新

マーティン・スコセッシ監督インタビュー

(佐藤睦雄)

──ジャック・ニコルソンとは、“B級映画の帝王”ロジャー・コーマンの時代から30年以上も友人であったはずです。初コラボはいかがでした?

自分なりのプロセスで役を演じていたニコルソン
自分なりのプロセスで役を演じていたニコルソン

「70年代からずっと、いつか一緒にやろう、いつか一緒にやろう、とつねに言い続けながら、決して何かがうまくいかなくて実現しなかった。コーマンのもとでは一緒にできた仲だからね。この映画でも彼はゼウスのようで、キング・オブ・ゴッドだった。なんでも演じられた。ニコルソンが演じたフランク・コステロは、『暗黒街の顔役』(1932)のポール・ムニのように、腕力のみでのし上がった男で、彼のテーマとして流れるドニゼッティのオペラのような無惨な末期を迎える。狂乱の人生なのさ。普段、私は脚本家や俳優たちと十二分に話し合ってキャラクターを掘り下げていく。それが私のやり方だ。レオも、マットもそうやった。例えば、マーク(・ウォールバーグ)とアレック(・ボールドウィン)の関係について、『アボット&コステロ(注:1940年代に人気があった凸凹お笑いコンビ)のような関係だぞ』とアドバイスしたりした。ところがニコルソンは自分なりのプロセスを愉しんでいた。その身ぶりはフランク・コステロの腕力を表現するのに申し分ないものだったが……。他の俳優とは十二分に話し合えた。私たちが一緒に仕事できたという事実に変わりはないがね」

──遠藤周作の「沈黙」はどこまで進みましたか? 一説に、編集者のセルマ・スクーンメイカーさんに編集作業をまかせて、「沈黙」の脚本書きのため、ホテルに籠もったそうですが。

「ノー。この映画の編集に11カ月かかっている。ハリウッドの中でもこんなに時間をかける、のろいコンビはいないだろうな(笑)。セルマとはそのあいだ、ずっと一緒だったよ。『沈黙』に関しては、脚本家(ジェイ・コックス)との作業が完全に終わったところだ。今現在、ファイナンスにとりかかっているところだ(注:ワーナー・ブラザースとの契約で製作される予定)」

──誰が主役のロドリゴ神父を演じるのですか?

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次回作で念願の「沈黙」に取り掛かる

「それはまだ言えない。ひとりが演じることは決まっているがね(笑)」

──誰が長崎奉行を演じるのですか?

「名前を言うと、プロジェクトが流れるという迷信があってね。勘弁してくれ」

──ローリング・ストーンズのライブドキュメント映画の撮影は終了したのですか?

「『ディパーテッド』が完成してすぐに、ミック・ジャガーたち4人のメンバーから依頼があった。彼らは40年以上もアメリカのミュージック・ビジネスで成功した者たちだ。私はすぐに契約して、彼らのツアーは2年にもわたる大がかりなものだったが、ニューヨークの小さな建物(注:ビーコン・シアター)に、何台ものカメラを持ち込んで彼らをとらえた。コンサートシーンの撮影はすべて済んで、今まさに編集の真っ最中だ」

──「ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム」における「ライク・ア・ローリング・ストーン」のようなエンディングを飾る曲は決めましたか?

「ああ。たぶん、みんなが大好きなストーンズの曲だ。楽しみにしてほしい」

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