劇場公開日 2006年2月11日

「見事なテーマ」クラッシュ(2005) mintoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5見事なテーマ

2016年8月30日
iPhoneアプリから投稿

人種差別をテーマにしながらイデオロギーにならず多角的な視点から描く脚本は見事としか言いようがありません。押し付けがましい道徳観程萎えるものはありませんよね。正義、悪を分けるのではなく、人間をリアルに描いています。オムニバスではなく、進行型で物語がクロスしていく構成が素晴らしい。グッとくるシーンがいくつもありました。特に透明マントのところはよかったですね。家族側もそうですが、ぶっ放したおっさん。あんな救われ方もあるんだなぁと。この映画の核はタイトル通り「ぶつかり合うこと」。それを避けてきたリベラル刑事のトムのストーリーがぶつかり合うことを避けてきた人間がどうなるかというのを皮肉として描かれています。あういう人間が増えてきた今「ぶつかり合うこと」の大切さを問う深いテーマの映画でした。ラストはぼぼ降らないはずの砂漠のロスに雪が舞います。この映画をみて私たちは差別ない世の中などあり得ないと思うかもしれませんが、砂漠のロスにも雪が降るのだから、もしかしたら…

minto