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今年度カンヌ映画祭の最高賞に値するパルムドール賞を取ったのは、オーストリア人監督ミヒャエル・ハネケさんです。この人の代表作といえばなんといっても「ピアニスト」なのですが、それ以外にも不快指数度強烈な「ファニーゲーム」とかもあります。それら日本でDVD化されていなかった彼の全作品が晴れて本作の公開を機にリリースされました。
そんな本作はサスペンス映画で公開時にミニシアター作品としては話題になりました。それは「衝撃のラスト」というキャッチコピーによってです。わたくしもこのキャッチにまんまと引っ掛かり、劇場に足を運びました。そして数時間後映画館を出た時、頭の中は「?」マークでいっぱいでした。
内容は、とある富裕層の夫婦のもとに一本のビデオテープが送られてくる所から始まります。それはこの夫婦の家を同じ所から撮影され続けたテープで、同じ物がそれから何回も何回も送られてくるようになるのです。そして、そんな映像を観ながら主人公の夫は、記憶の彼方に埋もれていた少年時代の過去を思い出す・・・
といった感じです。(ここからはネタばれになるので書きません。)
一言でこの作品の魅力を言うと、誰も真似できないハネケ監督の無音無臭無味乾燥な描写でしょうか。すごく怖いというよりも、いつのまにか怖くなってるんです。心の平衡感覚を吊るしている糸が一本一本さーっと切られていくような感じでしょうか。しかも、それに観る人はあまり気づいていない。それに気づくのは後半に、おぞましいシーンが一回だけ数秒でてきたときです。ほんの一瞬なのに、それまでの布石があるからけっこう背筋凍ります。
恐れ入るハネケ監督の技でした。ファンになっちゃいました。
作品としてはある種の密室サスペンス劇のような感じですが、二回観るとけっこう社会派でもあります。問題のエンディングは、よく目を凝らさないと気づけない「衝撃」になっています。それを二回目見たときに、なにやら寒気がしました。心のやましさは解決できるならしていきたいと思ったものです。
恐ろしく知能犯な監督さんです。