「24アワー・パーティ・ピープル」
ファインタイム(88)アシッド時代を象徴するジャケ。
映画でも言及されるが、
ニュー・オーダーがイビザで
2年かけてレコーディングした
アルバム「テクニーク」から
ヒア・トゥ・ステイ(0
マンチェスターのクラブ・シーンを描いて話題の映画「24アワー・パーティ・ピープル」。オールドタイマーには、観る前こそ「正直言って何で今さら」という先入観を与えるものの、観てしまえば「何だ、そういうことだったの」という、良くも悪くも懐古と発見が入り交じったとても不思議な感情を喚起させる有意義な映画であることが判る。ただ、もっとも強く感じるのは「何だよ物足りないな」という不満でもある。というわけで、この映画からスピンオフさせてフィーチャーすべきバンドとは?
勝手にスピンオフ
マンチェはやっぱりニュー・オーダー
編集部
「24HPP」サントラからのシングル。ニュー・オーダーがケミカル・
ブラザースとコラボ。
ジャケは映画にも頻出するハシェンダ
マンチェスターの人口はおよそ45万。日本で言えば、金沢や宇都宮、長崎といった規模の町である。イギリスの観光ガイドブックを見ても、ほとんど名所らしき名所は記されていない。18世紀に産業革命で名を馳せて以来、マンチェスターはこれといって取り柄のない地方都市になっていた。昔も今も「普通の」観光客には用がない町だ。
だが、一部の人々にとっては名所がないわけではない。いや、それは名所というよりは「聖地」と言った方が正しいだろう。その一つは「オールド・トラフォード」である。かつてはボビー・チャールトンを、そして今はデビッド・ベッカムを擁するマンチェスター・ユナイテッドのホーム・スタジアムだ。
ご存知ニュー・オーダー初期の大ヒット作。映画の中でピーター
・サビルが、ジャケのデザインを
トニー・ウィルソンに見せ
「フロッピーみたいだ」と評される
そしてもう一つの聖地が「ハシェンダ」だ。かつてマンチェスターの、いや世界のクラブシーンの頂上に君臨した大箱クラブである(潰れてしまって今はもうない)。映画「24アワー・パーティ・ピープル」は、このハシェンダと、それを経営するファクトリー・レコードの勃興、そして栄光と没落を描いた物語なのである。
映画の前半は、当然のごとくジョイ・ディビジョンを中心に描かれる。当然、イアン・カーティスの死は重要なエピソードの一つだ。ところで、ここで驚かされる(笑わせられる)のは、歌を歌えないヴィニ・ライリー(ドゥルッティ・コラム)とか、ジョイ・ディビジョンと同様クラブの柱たることを期待されていた、ア・サーティン・レシオといったバンドがさり気なく登場するあたり。だが、セカンド・サマー・オブ・ラブ世代の若者にとっては、ここら辺のエピソードはほとんど意味が分からないかも知れない。
タッチト・バイ・ザ・ハンド・オブ・ゴッド(87)ビゴ・モーテンセンも出ていた映画
「サルベーション」(日本未公開)
のために書かれた曲。
ヘビメタ扮装で撮ったPVの監督は
キャスリン・ビグ
後半になって、メインアクトはハッピー・マンデーズにバトンタッチ。ここまでくれば、現役クラバー諸君もギリギリ同時代感を共有できるだろう。ショーン・ライダーの無茶苦茶さ加減はかなりブラボーで、このファクトリーきっての放蕩息子の登場によって、一気に物語は破滅に向かって加速するという寸法。
ところで、監督のマイケル・ウィンターボトムにどれほどの音楽センスがあるのかは分からない。が、とにかく61年生まれの彼が、この映画の主人公に選んだのはファクトリーの経営者トニー・ウィルソンなのである。ファクトリー配下のバンドは数々登場はするが、全編を通じて映画の語り部を担うのは、よく言えばインディーズ魂あふれる、悪く言えばいい加減な経営者である。この点が「24アワー・パーティ・ピープル」の音楽映画としての特殊性だろう。
ワールド・イン・モーション(90)90年イタリアW杯時のイングランド
代表応援歌(結局出場を逃したが)。
映画でも一瞬ライブで歌うシーンが登場。
ニュー・オーダー唯一の
全英チャートNo.
そんな映画の構成と関係あってかどうか判らないが、何故かこの映画では、ファクトリーの稼ぎ頭だったニュー・オーダーがほとんど描かれていない。トニー・ウィルソンらとともに、ハシェンダの共同経営者でもあり、後世の数々のバンドがその影響を受けたと公言する、「マンチェスターの巨人」とも言うべき存在なのに。
そんなわけで次のページでは、この映画で見事にスポイルされてしまったニュー・オーダーのディスコグラフィーの中から、現在も入手可能な名盤を集めてご紹介してみることにしよう。
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