INTRODUCTION

日常を一歩だけ踏み込んだ、現実。

『ハッピーアワー』公開から1年、国内外で新たに多くのファンを得た濱口竜介監督の特集上映が、東京・関西の4館にて待望の開催!

ハマグチ映画の登場人物たちは、虚構なのに現実だ。その物語を「私たちの日常」と信じさせてくれる。でも、彼らはそこからもう一歩だけ踏み込んでいる。今特集の充実したプログラムでは、その不思議なまでのリアリティーを存分に味わえる。新境地の短編『天国はまだ遠い』も見逃せない。

「人間描写と映画表現、このあまりにもかけ離れた二つの作業を、
完全に平等に、かつ同時に行おうとする濱口竜介は、果たして映画の救世主なのか、
それとも破壊者なのか…今後の映画史が決めてくれるだろう。」

黒沢清(映画監督)

DIRECTOR

濱口竜介 RYUSUKE HAMAGUCHI
濱口竜介photoPHOTO:Ryogo SHIODA

1978年、神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業後、助監督や経済番組のADを経て、東京藝術大学大学院映像研究科に入学。2008年、修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。その後も、東日本大震災の被災者へのインタビューから成る『なみのおと』『なみのこえ』、4時間を越える長編『親密さ』(2012)など、地域やジャンルをまたいだ精力的な制作活動を続けている。最新長編『ハッピーアワー』(2015)でシンガポール国際映画祭最優秀監督賞、文部科学大臣芸術選奨新人賞を受賞。

FILMS

  • ハッピーアワー

    スチール

    プロデューサー:高田聡、岡本英之、野原位 / 監督:濱口竜介 / 脚本:濱口竜介、野原位、高橋知由 / 撮影:北川喜雄/録音:松野泉 / 照明:秋山恵二郎
    出演:田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りら ほか

    2015年 / 317分 / HD / カラー

    30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人。お互いに、何でも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは……。

    神戸を舞台にした本作で、等身大の主人公を演じた4名(田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りら)は第68回ロカルノ国際映画祭において最優秀女優賞を獲得し、脚本にもスペシャル・メンションが授与された。その後もナント、シンガポール、バルセロナ、グァナファトの国際映画祭において、それぞれ準グランプリ、監督賞、観客賞、そして作品賞を受賞するなど、作品に対して国際的・多面的な評価が与えられている。国内ロードショーでもヒットを記録した『ハッピーアワー』はもはや名実ともに濱口竜介の代表作と言えるだろう。劇場公開1周年を記念して、ついに本特集で東京・関西に帰還。

  • 天国はまだ遠い

    スチール

    プロデューサー:高田聡、岡本英之 / 監督・脚本:濱口竜介 / 撮影:北川喜雄 / 録音:西垣太郎 / 整音:松野泉 / 助監督:高野徹
    出演:岡部尚、小川あん、玄理

    2016年 / 38分 / HD / カラー

    AVのモザイク付けを生業とする雄三は、女子高生の三月(みつき)と奇妙な共同生活を送っている。ある日、三月の妹から雄三に、一本の電話が入る。

    元々『ハッピーアワー』クラウドファンディングの特典として企画された短編。現時点で濱口竜介の最新作である。ドキュメンタリー、正面ショット、ダンス…とこれまでの濱口作品のモチーフが頻出する一方で、新境地とも言うべき軽やかさが印象深い。それをもたらしたのは、『PASSION』『永遠に君を愛す』出演の岡部尚との久しぶりのコラボレーション、そして新たな協働者である小川あん、玄理の瞳の輝きだろう。虚実の間を揺れ動く”インタビュー”シーンは必見。

  • 不気味なものの肌に触れる

    スチール

    製作:LOAD SHOW、fictive / プロデューサー:北原豪、岡本英之、濱口竜介 / 監督:濱口竜介 / 脚本:高橋知由/撮影:佐々木靖之 / 音楽:長嶌寛幸 / 録音:黄永昌 / 助監督:野原位 / 制作:城内政芳 / 振付:砂連尾理
    出演:染谷将太、石田法嗣、渋川清彦、瀬戸夏実、水越朝弓、河井青葉、村上淳 ほか

    2013年 / 54分 / HD / カラー

    斗吾(トウゴ)の暮らす町に弟・千尋が引っ越して来た。その日以来斗吾の町では不穏なできごとが起こり始める。

    わずか55分の内に、自らを異質性に向けて解放し変容し続ける濱口の特異性が凝縮されている。脚本の高橋知由、踊りの指導を担当し出演もしている砂連尾理らとの出会いが濱口に進化/深化をもたらしている。染谷将太と石田法嗣の踊りの官能性と荘厳さ、不可解かつ表面的には不連続な物語にもかかわらず一貫して持続するエモーション、端正さと異様さとが入り交じるショット構成等々、必見。※作品解説:木村建哉(映画研究者)

  • 親密さ

    スチール

    製作:ENBUゼミナール / 監督・脚本:濱口竜介 / 撮影:北川喜雄 / 編集:鈴木宏 / 整音:黄永昌 / 助監督:佐々木亮介 / 制作:工藤渉 / 劇中歌:岡本英之
    出演:平野鈴、佐藤亮、伊藤綾子、田山幹雄 ほか

    2012年 / 255分 / HD / カラー

    ともに演出家であり、恋人同士でもある令子と良平は互いに傷つけ合いながら舞台劇『親密さ』初演を迎える。

    4時間を越える大作だが、ENBUゼミナールの演技コースの修了作品としてスタートした企画である。映画と映画内の舞台劇の関係においてだけでなく、それぞれの中でも、現実と虚構が複雑、微妙に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。美し過ぎるラストが、岡本英之の音楽とともに脳裡に焼き付く。※作品解説:木村建哉(映画研究者)

  • THE DEPTHS

    スチール

    製作:東京藝術大学大学院映像研究科・韓国国立フィルムアカデミー / プロデューサー:原尭志、シム・ユンボ / 監督:濱口竜介 / 脚本:濱口竜介、大浦光太 / 撮影監督:ヤン・グニョン / 照明:後閑健太 / 整音:金地宏晃 / 美術:田中浩二 / 編集:山崎梓 / 助監督:菊地健雄
    出演:キム・ミンジュン、石田法嗣、パク・ソヒ、米村亮太朗、村上淳 ほか

    2010年 / 121分 / HD / カラー

    韓国人カメラマン・ペファンは日本滞在中に男娼のリュウをモデルとして見出すも、過酷な運命が二人を待つ。

    東京藝術大学と韓国国立映画アカデミーの共同製作。キャストだけでなくスタッフも混成チームという容易ならざる状況を、濱口は作品そのものの危うい魅力へと転化し、韓国/日本、ホモセクシャル/バイセクシャル/ヘテロセクシャル、大人/子供、金持ち/貧乏人、堅気/ヤクザといった境界線の上で登場人物達を漂流させる。※作品解説:木村建哉(映画研究者)

  • 永遠に君を愛す

    スチール

    製作:竹澤平八郎 / 監督:濱口竜介 / 脚本:渡辺裕子 / 撮影:青木穣 / 照明:後閑健太 / 録音:金地宏晃 / 整音:上條慎太郎 / 美術:原尚子 / 編集:山崎梓 / 助監督:佐々木亮介 / 音楽:岡本英之
    出演:河井青葉、杉山彦々、岡部尚、菅野莉央、天光眞弓、小田豊 ほか

    2009年 / 58分 / HD / カラー

    結婚式当日の花嫁、永子は幸福の絶頂…のはずが、永子には婚約者・誠一に言い出せない秘密があった。

    秀れた監督でもある渡辺裕子の脚本は、普通に映画にすればこの上なくウェルメイドなスクリューボール・コメデイーとなったはずだ。しかし濱口は普通ではない。生まれ落ちたのは、凍りついた笑いと不思議な解放感が共存する怪作である。ヒッチコックの『スミス夫妻』に匹敵するこの異常事態を、あなたは見ずにいられるのか?※作品解説:木村建哉(映画研究者)

  • PASSION

    スチール

    製作:東京藝術大学大学院映像研究科 / プロデューサー:藤井智 / 監督・脚本:濱口竜介 / 撮影:湯澤祐一 / 照明:佐々木靖之 / 録音:草刈悠子 / 美術:安宅紀史、岩本浩典 / 編集:山本良子 / 助監督:野原位
    出演:河井青葉、岡本竜汰、占部房子、岡部尚、渋川清彦 ほか

    2008年 / 115分 / HD / カラー

    同級生の結婚を祝福する若者たち。しかしそこで男の浮気が発覚し、カップルは別々の夜を過ごすことになる。

    濱口竜介の名を世界に知らしめた記念碑的作品。5人の男女の恋愛感情がもつれ合い、ほんのわずかのきっかけでさえ激しく変化する様が、緻密に構成された脚本と周到でねばり強い演出の下に、繊細に、かつエモーショナルに描かれる。そして緻密さと周到さに支えられ、偶然を超えた次元で、今や伝説となった映画の奇跡が訪れる。※作品解説:木村建哉(映画研究者)

  • 記憶の香り

    スチール

    製作:東京藝術大学大学院映像研究科 / プロデューサー:東條真努香 / 監督:濱口竜介 / 脚本:小林美香 / 撮影・照明:佐々木靖之 / 録音:草刈悠子 / 美術:田中浩二 / 編集:筒井武文 / 助監督:船曳真珠 / 音楽:和田春
    出演:藤川俊生、河井青葉、根岸結衣 ほか

    2006年 / 27分 / 16mm→SD / カラー

    繰り返しの日常の中で、不思議な少女との出会いによって運命を狂わされていく一人の男。

    幽霊譚か、はたまた青春ドラマか。不可思議な物語の筋を丁寧に追うほどに、観客は深淵へと迷い込む。濱口曰く、東京藝大同期・小林美香の脚本に魅入られるようにして、あれよあれよとできあがった魔性の短編。以降に協働作業を重ねる河井青葉や撮影・佐々木靖之との初仕事としても見逃せない。

  • 何食わぬ顔(long version)

    スチール

    製作・監督・脚本・編集:濱口竜介 / 撮影:渡辺淳、濱口竜介、東辻賢治郎 / 録音:井上和士 / 音楽:David Nude、ROMAN
    出演:松井智、濱口竜介、岡本英之、遠藤郁子、石井理絵 ほか

    2002年 / 98分 / 8mm→SD / カラー

    友人に言われるままに亡兄の遺作となる8ミリ映画を撮影する野村。彼の煮え切らない態度が周囲を戸惑わせる。

    技術的な諸々の難点を除けば(これは大学の映研で撮られた8ミリ映画なのだ)、濱口竜介が既に濱口竜介であることが驚異的だ。的確な演出とショット割り。映画と映画内映画の関係を複雑かつ緻密に構成した脚本。しかもここには、若さと仲間との親密さから来る瑞々しさが溢れている。※作品解説:木村建哉(映画研究者)

東北記録映画三部作

共同監督・酒井耕とともに震災後の東北で制作した
「聞く」ドキュメンタリー集

  • なみのおと

    スチール

    製作:東京藝術大学大学院映像研究科 / プロデューサー:藤幡正樹、堀越謙三 / 監督:濱口竜介、酒井耕 / 撮影:北川喜雄 / 整音:黄永昌

    2011年 / 142分 / HD / カラー

    2011年7〜8月に撮影された岩手県から福島県沿岸部の、津波被災者6組11人への対話形式インタビューの記録。

    酒井耕と共同監督で、東日本大震災についてのドキュメンタリー。濱口と酒井は、震災の爪痕を撮影したり、地震発生時の記録映像を引用したりはせずに、被災者の証言を記録することに集中する。その際二人は、ドキュメンタリーでは掟破りともされかねないある方法を用いるが、これは被災者の表情により迫るための真摯な試みだ。※作品解説:木村建哉(映画研究者)

  • なみのこえ 新地町

    スチール

    製作:サイレントヴォイス / プロデューサー:芹沢高志、相澤久美 / 監督:濱口竜介、酒井耕 / 実景撮影:北川喜雄 / 整音:鈴木昭彦

    2013年 / 103分 / HD / カラー

    2012年1月から2012年6月に行われた福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビューの記録。

    震災後約一年、原発事故後の不安と海の汚染や海産物の風評被害の下にある福島県新地町という、被災地の中でも相当に微妙な状況の下で、濱口と酒井は、『なみのおと』の特異な方法論を先鋭化・徹底化させながら、複雑なものを単純化せず、分かり易くせずに提示し、観客に共有させようと、あるいは共有の困難さを示そうとする。※作品解説:木村建哉(映画研究者)

  • なみのこえ 気仙沼

    スチール

    製作:サイレントヴォイス / プロデューサー:芹沢高志、相澤久美 / 監督:濱口竜介、酒井耕 / 実景撮影:佐々木靖之 / 整音:黄永昌

    2013年 / 109分 / HD / カラー

    2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタビューの記録。

    人口が減り続け復興の未来の見えない気仙沼だが、未来への希望を人々は微かに見ようとしている。濱口と酒井は『なみのおと』の方法論を受け継ぎながらもそこに着目し、震災に直接関わる内容を超えて、被災者の過去をも掘り起こそうとする。喋るのが苦手な人にあえてカメラの前で語らせることで、確かに見えてくるものがある。※作品解説:木村建哉(映画研究者)

  • うたうひと

    スチール

    製作:サイレントヴォイス / プロデューサー:芹沢高志、相澤久美 / 監督:濱口竜介、酒井耕 / 撮影:飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之 / 整音:黄永昌
    助成:独立行政法人独立行政法人 日本芸術文化振興会 ほか

    2013年 / 120分 / HD / カラー

    宮城県に暮らす語り手による東北地方伝承の民話語り。これは同時に彼らを訪ね続けた聞き手の記録でもある。

    酒井耕との共同監督作品で被災地に取材しながら、ここで濱口と酒井が取り上げるのは民話(昔話)を語る老人達である。取材やインタビューの経験から触発されたこの作品では、語りは聞き手の反応があってのコミュニケーションであることが浮き彫りにされ、さらには映画とは何かの根源さえも問われることになるだろう。※作品解説:木村建哉(映画研究者)

レア短編集

  • Friend of the Night

    スチール

    製作:岡本英之 / 監督・脚本・編集:濱口竜介 / 撮影:濱口竜介、松本浩志 / 録音:佐々木亮介 / 助監督:野原位
    出演:鈴木里美、岡本英之、大平恵、梶尾翔平、櫻木麻衣羅 ほか

    2005年 / 44分 / SD / カラー

    若手のシナリオライター・衛(まもる)は今まで手を付けたことのない「ホラー」という発注にうまく応えられないでいる。友人の結婚式で同級生の奈美に出会った衛は、彼女にとって「何が一番怖いか」を聞き出そうとする。笑いとともに始まった「ある夜の友人」の話が、やがて衛と奈美の関係までも微妙に震わせていく。

  • はじまり

    スチール

    プロデューサー:遠藤薫 / 監督・脚本:濱口竜介 / 撮影:松本浩志 / 録音:井上和士 / 音楽:川村岬、望月晃
    出演:梅田つかさ、花澤拓巳、馬場省吾

    2005年 / 13分 / SD / カラー

    「今夜、世界は俺のものだ!」受験を間近に控えた中学3年生の友子は、年末に余裕のサッカー観戦。友だちとも別れ、帰るいつもの田舎道。誰もいない帰り道で一人、詩のような言葉を唱えながら歩いていたとき、偶然同じクラスの洋太にばったり出会った。

  • 遊撃

    スチール

    製作:東京藝術大学大学院映像研究科 / プロデューサー:塩原史子 /監督・脚本:濱口竜介 /撮影:湯澤祐一 / 録音:光地拓郎 / 編集:山本良子 / 美術:松崎雅 / 助監督:瀬田なつき / 制作:佐々木靖之
    出演:土屋裕樹、工藤渉、山岡麻依子、千葉茜、北浦正之

    2006年 / 17分 / SD / カラー

    恵一は大学院の先輩・誠に想いを寄せているが、告白して振られる。誠はそれはあくまで性的指向の問題であって、恵一の人柄自体は否定しないと言う。諦めきれない恵一は、飲み会で夜を明かした勢いで再度告白を試みる。東京藝大入学直後「差別」というテーマを与えられて撮った一本。

  • 明日のキス

    スチール

    監督・脚本:濱口竜介 / 監督補:酒井耕 / 撮影:北川喜雄

    2012年 / 3分 / HD / カラー

    「明日」をテーマに3分11秒の映画を作るという、仙台短編映画祭(2012年)の依頼で制作された。男は女にキスがしたい。女は今日はダメだと言う。理由は、今日すでにほかの男とキスをしたからだと言う。女は明日ならば、と言う。男は理解できない。キスを今日することと明日することには一体どんな違いがあるのか。

特別上映作品

濱口竜介と縁の深い人物として、『ハッピーアワー』で共同脚本を務めた野原位と、
同作品で助監督を務めた高野徹の監督作品を併映します。

  • talk to remember

    スチール

    製作・監督 / 製作 : 野原位 / 脚本 : 高木幹也 / 撮影 : 青木穣 / 音楽 : 花枝明 / 録音 : 光地拓郎
    出演:伊藤久美子、土村芳、永岡卓也

    2015年 / 30分 / HD / カラー

    香葉子は自殺した弟の死の真相を知るため、弟の恋人であった瑞希のもとを訪ねる。初対面の2人は牽制し合い、真夏の山道を彷徨い歩く。ちぐはぐな会話は、解きほぐされては紡がれていく。「信之の指、覚えてる?」−やがて2人の記憶がゆっくりと、弟の、そして恋人の死の事件へと向かい始める時、激しく柔らかな交感の時間が訪れる。

    濱口竜介監督『ハッピーアワー』で共同脚本/プロデューサーを務めた野原位監督最新作。「女性の本当の魅力が映る映画を撮りたい」そんな自身の映画の原点に立ち返り、伊藤久美子(吉田良子監督『受難』)、土村芳(林海象監督『弥勒』)とともに全編ロケ撮影で臨んだ短編意欲作。(第2回広島国際映画祭「若手監督特集」上映作品)

    野原位監督写真

    監督野原位Tadashi NOHARA

    1983年栃木県生まれ。2007年に東京藝術大学大学院映像研究科の第3期監督領域に入学し、黒沢清監督に師事する。在学中に伊坂幸太郎原作のオムニバス映画『ラッシュライフ』中の一編、『京子』(主演 寺島しのぶ)を監督(第23回高崎映画祭招待作品)。また大学院修了作品として、初長編映画『Elephant Love』を監督。『talk to remember』は2015年第2回広島国際映画祭「若手監督特集」にて上映される。『ハッピーアワー』ではラインプロデューサー/共同脚本を担当。

  • 二十代の夏

    スチール

    製作:『二十代の夏』制作実行委員会 / プロデューサー:高野 徹、細見葉介、新村繭子 / 監督・脚本・編集:高野 徹 / 撮影:竹野智彦
    出演:戎 哲史、福原舞弓、島津恵梨花

    2016年 / 42分 / HD / カラー

    駆け出し小説家のカズキは執筆のため、故郷の島で夏休みを過ごしていた。ひょんなことから、観光に訪れていたレイコとユカに出会う。カズキはレイコに昔付き合っていた女性の面影を見出し、いとも簡単に心奪われてしまう。ある晩、3人はユカの奔放な振る舞いをきっかけに大きく衝突をはじめる。

    『島の女たち』という仮題の元、制作をスタートした本作はアーツカウンシル東京の助成やクラウドファンディングを通じた幅広い支援を得て、伊豆大島で撮影された。当初「女性のわからなさ」をテーマに制作が進められてきたが、そのテーマは発展をとげ、「二十代男性の未熟さ」という自己省察的な視点を獲得し、より高い精度で女性を見つめ直すドラマとして成功している。

    高野徹監督写真

    監督高野徹Toru TAKANO

    1988年生まれ。横浜国立大学大学院都市イノベーション学府修了。映画『ハッピーアワー』では助監督を務める。2016年、自身の監督作である映画『二十代の夏』を発表。

THEATER

ポレポレ東中野

ポレポレ東中野:タイムスケジュール

※レア短編集:「Friend of the Night」「はじまり」「遊撃」「明日のキス」

特別上映について

シネ・ヌーヴォ、元町映画館は、濱口竜介と縁の深い人物として、『ハッピーアワー』で共同脚本を務めた野原位と、同作品で助監督を務めた高野徹の監督作品を併映します。