劇場公開日 2017年3月3日 PROMOTION

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お嬢さん : 特集

2017年2月27日更新

本作に魅了された宮藤官九郎が、敬愛するパク・チャヌク監督と待望の対面! 
《禁断の扉》の先にある官能、だまし合い、狂気に映画ファンもあえぎまくる!

英作家サラ・ウォーターズの人気小説を原案に、男女4人のし烈なだまし合いを描く
英作家サラ・ウォーターズの人気小説を原案に、男女4人のし烈なだまし合いを描く

「オールド・ボーイ」「渇き」のパク・チャヌクが監督&共同脚本を手掛け、カンヌ国際映画祭ほか世界の映画賞で絶賛を浴びる大ヒット作「お嬢さん」が、ついに3月3日から日本公開。本作の魅力と見どころが、パク監督ファンを公言する脚本家・映画監督の宮藤官九郎とパク監督の対談を通して浮かび上がる。


スペシャル対談実現! 宮藤官九郎が愛してやまないパク・チャヌク 
「衝撃的なビジュアルと仕掛けに驚かされるんです。こんな監督って他にいない」 
最新作の衝撃を直接本人に伝えた!

パク・チャヌク監督(写真左)と宮藤官九郎(写真右)、日韓の鬼才2人の対面が実現
パク・チャヌク監督(写真左)と宮藤官九郎(写真右)、日韓の鬼才2人の対面が実現

国民的ドラマ「あまちゃん」の脚本を手掛けたほか、映画監督として「中学生円山」「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」といった作品を世に送り出し、さらには俳優、ミュージシャンとしても活躍する才人・宮藤官九郎。以前よりパク・チャヌク監督作好きを公言していた宮藤と、プロモーションのために来日したパク監督との特別対談がここに実現。宮藤は監督に同じ作り手としての疑問をぶつけつつ、パク監督作、そして最新作「お嬢さん」の魅力を大いに語った。

イギリスの人気作家サラ・ウォーターズの傑作ミステリー「荊の城」を、1930年代、日本統治下の朝鮮半島に舞台を移し、4人の男女のし烈なだまし合いを描くのが本作。宮藤はパク監督と挨拶を済ませるとすぐに「ビジュアルがとにかくすごい。邦題も最高です!」と熱っぽく語り、対談をスタートさせた。

だまし合いの舞台となる富豪の屋敷は、日本と英国の建築様式を共存させた独特なつくり
だまし合いの舞台となる富豪の屋敷は、日本と英国の建築様式を共存させた独特なつくり

「一番印象に残ったシーン」として宮藤が挙げたのは、ヒロインのひとりである令嬢・秀子が日本髪を結って着物をまとい、礼服を着た紳士たちの前で官能文学を朗読するシーン。「あのシーンのビジュアルがすごいなと思ったんです」と圧倒されたことを明かした。

モデルとしても活躍し、「泣く男」でも知られるキム・ミニが秀子をなまめかしく演じる
モデルとしても活躍し、「泣く男」でも知られるキム・ミニが秀子をなまめかしく演じる

脚本家であり、映画監督でもあり、さらには俳優でもある宮藤は、映画に関わるさまざまな立場の視点を持つに違いないが、作品を鑑賞する際には、どの視点で臨むのだろう。「1回目は、多分どれでもないです。普通のお客さんとして見て、2回目以降見るときに、もう少し作り手の目線になって見ることはあります」と答えるものの、「監督の映画っていうのは、いつもそうなんですけど、1回目からすごく衝撃的なビジュアルとか、仕掛けに驚かされるんです。今回の『お嬢さん』で言うと、構成もすごく凝っていて、1部、2部、3部と、それぞれ視点が変わることで、同じ場面が全く違う意味を持つ。初めて見たときからびっくりしました、仕掛けに。あんまりそういう監督って他にいない」と別格だとたたえる。

からくり仕掛けのように人形が突然登場し、秀子と絡み合うシーンは強烈な印象を残す
からくり仕掛けのように人形が突然登場し、秀子と絡み合うシーンは強烈な印象を残す

「何かすごく(心に)引っかかるビジュアルとか、時間軸を変える構成によって、普通のお客さんとして素直に見ようとしても、なんかこう……え、なんで今こうなるの?っていう(緊張して考察している頭の)状態をずっとキープしているから、全然退屈しないんですね。だから病みつきになってしまう。疲れるけど、集中して見ないといけないですから(笑)。情報量が多い、というのも違うんですけど……そう、濃密ですよね。ギュッと詰まってる」

このファンならではの言葉には、パク監督も「ありがとうございます」と目を細めるしかなかった。

シリアスなストーリーにも関わらず、時おりのぞくユーモアに言及するクドカン
シリアスなストーリーにも関わらず、時おりのぞくユーモアに言及するクドカン

数多くの傑作コメディを多く生み出してきた脚本家らしく、宮藤はパク監督作のユーモアについても言及。「今作のお嬢さん(秀子)と交わる人形のシーンだとか、『渇き』のウォーター・ベッドとか、エロチックなんだけど、ちょっと笑えるというか。どこまで(観客は)笑って見ていいのか、どこまで意図的に撮られているのか?を聞きたかったんです。もう救いがないくらい話がどんどん深みに入っていっているのに、なんだか笑っちゃうんです」と投げかけると、パク監督は「予期しないところで観客が笑ってくれるのが、私にとって一番大事な要素ですね」と返答。宮藤は「すごい! それは僕も(脚本を書くときにこだわる部分として)同じですね。あ、だから笑ってよかったんだ(笑)」と笑顔を見せ、「『親切なクムジャさん』の刑務所の中のレズビアンの場面とか、何回見ても笑えるんですよ。今回の『お嬢さん』も女性同士が絡むシーンがありますが、深い意味があるんだろうと思って見ようとするのに、笑っちゃいけないような気がするのに、なんだか笑っちゃうんです」と、ユーモアにやられた経験を伝えた。

スッキ役のキム・テリ(写真左)は、オーディションで役を勝ち取った驚異の新人女優
スッキ役のキム・テリ(写真左)は、オーディションで役を勝ち取った驚異の新人女優

パク監督は、観客と映画の“距離感”をコントールする重要な手段として「ユーモア」を使うと持論を展開。「こちらから見て、観客の気持ちがあまりにも映画に密着し過ぎているなと思ったら、笑いを入れてちょっと距離を離し、離れ過ぎているなと思ったら、また笑いを入れてちょっと近づける。それができるのがユーモアだと思うんです」と解説した。「また、ユーモアは使い方次第によっては、怖さや悲しさとか、感動というものを倍増させてくれる役割があるんですね」。

秀子の財産を狙う詐欺師(ハ・ジョンウ)は、手練手管を使って秀子に取り入ろうとする
秀子の財産を狙う詐欺師(ハ・ジョンウ)は、手練手管を使って秀子に取り入ろうとする

そして、宮藤は「作品を作る際には、どれくらいひらめきとか、思い付きで進んでるんだろう?ということが気になります」と問いかける。

パク監督は「一応、色々なことをひらめこう、思いつこうと努力はしていますが、最近の観客はとにかく映画を多く見ているじゃないですか」と苦心を披露。「ジャンル映画はだいたい約束ごとかありますから、それに沿って作るわけですが、ルールに従ってしまうとありきたりなものになってしまいます。無視はしないんだけども、それを使ってちょっと遊んでみようかなって、そして観客が予想できるようなものにしないことが大事だと思っています」と創作の秘けつを語った。

絵画のように美しく均整の取れたシーンが全編にちりばめられ、作品に深みを与えている
絵画のように美しく均整の取れたシーンが全編にちりばめられ、作品に深みを与えている

「(私の初期の作品は)“復しゅう3部作”と呼ばれていますが、『全部違う作品ですね』って言われるほうが好きなんです。常に違う作品を作りたいと本当に思っていて、クレジットから私の名前を消して、何も知らずに見たときに、同じ監督の作品だと思われたくないと考えながら作っているんですね。でも、それでもやっぱり『この作品とこの作品はつながっているじゃないか、同じじゃないか』と言われてしまったら、それは私にとって(もう違う作品を生み出せない)限界なのかなと。実力がそこに達していないのかなと思うんです」

作り手の思いと熱があふれるふたりは、対談の制限時間が差し迫っても話題が尽きない。同席した関係者までうなずかせるほどの作品論を交わし合った。

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《良質》と《変態》が最高のバランスで融合した結果、全世界の映画賞を席巻! 
映画ファンを引きつけた奇跡の黄金比は、この3つからできている

世界的に評価されているパク監督は、本作でも映画賞・興行の両面で成功を収めている
世界的に評価されているパク監督は、本作でも映画賞・興行の両面で成功を収めている

「オールド・ボーイ」(カンヌ国際映画祭グランプリ)、「渇き」(カンヌ国際映画審査員賞)で世界を震かんさせてきた巨匠パク・チャヌクが、ハリウッド・デビューを飾った「イノセント・ガーデン」から3年ぶりに放つ禁断の衝撃作が、本作「お嬢さん」だ。第69回カンヌ国際映画祭で絶賛され、本国韓国では成人映画(R19指定)のオープニング記録を更新。その勢いは韓国国内にとどまらず、アメリカ、フランスと合わせて、観客動員500万人以上という大ヒットを果たした。さらに全米批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、サンフランシスコ映画批評家協会賞など、アカデミー賞にもつながる数々の映画賞で外国語映画賞を獲得。世界の映画賞において、2月8日時点で73のノミネート、33の受賞という結果を残しているのだ。

本作では身分の違う女性同士の絆に焦点を当て、過去作とは異なる“切なさ”を創出した
本作では身分の違う女性同士の絆に焦点を当て、過去作とは異なる“切なさ”を創出した

これは、圧倒的な作品力と他の追随を許さない変態性が、絶妙なバランスで融合していることの証明に他ならない。その「黄金比」を支えているのは、傑作と名高い原作、パク監督の作家性、そして先が読めないストーリーの3つの要素だ。

劇中には春画や掛け軸も登場し、調度品の1つひとつにも製作陣のこだわりが感じられる
劇中には春画や掛け軸も登場し、調度品の1つひとつにも製作陣のこだわりが感じられる

原作は、05年にイギリスで刊行され、「このミステリーがすごい!」第1位にも輝いたサラ・ウォーターズの「荊の城」。ミステリー・ファンの間でも傑作と名高い同作が、19世紀半ばのイギリスから30年代の朝鮮へと見事に舞台を移して映画化された。日本文化への憧れを持つ、当時の特権階級の耽美的な生活と心理が見事な美術セットとともに描かれている。

カンヌ受賞作「オールド・ボーイ」はスパイク・リー監督でハリウッドリメイクもされた
カンヌ受賞作「オールド・ボーイ」はスパイク・リー監督でハリウッドリメイクもされた

「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」の“復しゅう3部作”を筆頭に、過剰なまでの美しさとディテール、残虐性を秘めたいびつな描写で映画ファンに多くの衝撃を与えてきたパク・チャヌク監督。4人の男女のだまし合いを濃密なエロスとバイオレンスとともに描いた本作は、まさにパク監督の集大成と言っても過言ではないのだ。

3部構成の本作は、1部と2部で物語の見え方ががらりと変わる仕掛けが施されている
3部構成の本作は、1部と2部で物語の見え方ががらりと変わる仕掛けが施されている

詐欺グループに育てられた少女スッキ(キム・テリ)が、“伯爵”と名乗る詐欺師(ハ・ジョンウ)から、日本文化を崇拝する富豪・上月(チョ・ジヌン)の財産を奪う計画を持ちかけられ、侍女として上月家に入り込む。スッキは令嬢・秀子(キム・ミニ)に近づき、やがて立場も性別も超えた関係を深めていくが……。3部の構成ごとに視点が入れ替わり、驚きの展開が待ち構えている。


「パク・チャヌク監督がまたやってくれた!」 
独占試写会で、禁断の扉の奥をのぞいた映画ファンの「うめき」を聞いてほしい

映像美やエロス、暴力描写だけでなく、どんでん返しも仕掛けられたぜいたくな作品
映像美やエロス、暴力描写だけでなく、どんでん返しも仕掛けられたぜいたくな作品

濃厚なエロスとバイオレンスに彩られた衝撃のミステリー。映画.com独占試写会で、禁断の扉を開いてしまった映画ファンは、いかなる衝撃を受け止めたのか。その赤裸々な「うめき」の数々を掲載!

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