3Dテレビの長い歴史(2) : 第三の革命 立体3D映画の時代

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コラム:第三の革命 立体3D映画の時代 - 第10回

2010年9月15日更新

一昨年春に連載し、好評を博した映像クリエーター/映画ジャーナリストの大口孝之氏によるコラム「第三の革命 立体3D映画の時代」が復活。昨年暮れの「アバター」公開により、最初のピークを迎えた感のある第3次立体映画ブームの「その後」について執筆していただきます。第10回は、「3Dテレビの長い歴史」パート2です。

第10回:3Dテレビの長い歴史(2)その1

【図1】映画「ホンドー」(上)とABC 3Dウイーク(下)のアナグリフ放送用メガネ 【図1】映画「ホンドー」(上)とABC 3Dウイーク(下)のアナグリフ放送用メガネ

■アナグリフによる3Dテレビ放送

前回に引き続き、3Dテレビの歴史について述べる。米国のケーブルテレビでアナグリフ方式による映画の3D放送を行った3Dビデオ社は、ロビン・ウィリアムズ主演のTVシリーズ「Mork & Mindy」の第4シーズン・第19~21話「Gotta Run」(1982)を3D化するプロジェクトに参加した。そして実際に3D撮影されたが、ABCとパラマウント・テレビジョンは2D版しか放送しなかった。その1年後、3Dビデオ社は行き詰まりを見せ、倒産してしまった。

【図2】「ミディアム/霊能捜査官アリソン・デュボア」用のアナグリフ・メガネ 【図2】「ミディアム/霊能捜査官アリソン・デュボア」
用のアナグリフ・メガネ
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3Dビデオ社の技術を手掛けていたダニエル・シムズは、1987年に同社の資産を破産管財人から買い上げ、彼が開発したカラー・アナグリフ・ビデオ技術にNATURAL VISIONという名称を与えた。そして、ジョン・ウェイン主演の西部劇「ホンドー」(1953)【図1上】を、1991年6月に151のテレビ局から3D放送した。

シムズは、1996年にDIMENSION 3社を設立し、3大ネットワークへの進出を狙う。その企画に賛同したABCは、1997年5月6~9日を“ABC 3Dウィーク”として、以下のコメディドラマ9作品の一部をアナグリフで3D放送することを計画した。

【ABC 3Dウィーク コメディドラマ9作品】
「Home Improvement」第6シーズン・第23話「The Feminine Mistake」
「スピン・シティ」 第1シーズン・第23話「The Mayor Who Came to Dinner」
「Coach」 第9シーズン・第21話「Leaving Orlando: Part 1」
「Ellen」 第4シーズン・第24話「Hello Muddah, Hello Faddah」
「ドリュー・ケリーDEショー!」 第2シーズン・第23話「Win a Date with Kate」
「Family Matters」 第8シーズン・第24話「A Pirate's Life for Me」
「サブリナ」 第1シーズン・第23話「The Crucible」
「Step by Step」第6シーズン・第10話「How the West Was Won」
「America's Funniest Home Videos」(放送日・エピソード名は不明)

この放送のために、アナグリフ・メガネ【図1下】が2000万個も作られ、ウェンディーズ・ハンバーガーの店舗で配布された。

2005年11月21日には、NBCが犯罪ミステリーシリーズ「ミディアム/霊能捜査官アリソン・デュボア」(日本ではCSのFOXチャンネルで放送)の第2シーズン・第9話「Still Life」の一部をアナグリフ3D放送した。3Dメガネ専門のアメリカン・ペーパー・オプティクス社が製造したアナグリフ・メガネ【図2】は、雑誌「TV Guide」の付録として提供されている。この作品の製作総指揮を務めたグレン・ゴードン・キャロンは、1986年2月11日にABCで放送された「こちらブルームーン探偵社」の第2シーズン・第13話「In God We Strongly Suspect」も、アナグリフ3Dにする計画を持っていたが、この時は技術的問題から断念していた。

【図3】カートゥーン・ネットワークのアナグリフ・メガネ 【図3】カートゥーン・ネットワークのアナグリフ・メガネ [拡大画像]

また、アニメーション専門ケーブル局のカートゥーン・ネットワークは、2007年10月12日にハロウィン・スペシャルとして、「フォスターズ・ホーム」の第5シーズン・第10話「Nightmare on Wilson Way」と、「リ・アニメイテッドジムのカートゥーン大冒険」の第1シーズン・第5話「Ghosts」をアナグリフ3D放送した。【図3】

米ディズニー・チャンネルは、マイリー・サイラスによるコンサート・ドキュメンタリー映画「ハンナ・モンタナ/ザ・コンサート3D」を、2008年7月26日にHDアナグリフ3D放送を行った。この時のメガネ【図4上】は、全米のウォルマートで配布された。

最近の例で言えば、CBSで2010年1月31日に放映された「第52回グラミー・アワード」において、マイケル・ジャクソンへのトリビュートとしてThis is itツアーのために用意されていた3D映像「Earth Song」が、アナグリフで放送されている(米国のみ)。メガネ【図4下】は大型量販店ターゲットで配布された。

【図4】「ハンナ・モンタナ ザ・コンサート3D」(上)と「第52回グラミー・アワード」(下)のアナグリフ・メガネ 【図4】「ハンナ・モンタナ ザ・コンサート3D」(上)と「第52回グラミー・アワード」(下)のアナグリフ・メガネ (C)Disney「ハンナ・モンタナ ザ・コンサート3D」

■日本国内におけるアナグリフ放送

【図5】炭酸飲料キリン・メッツ3Dコマーシャル用メガネの説明書【図6】メガネストアーのキャンペーンポスター(右) 【図5】炭酸飲料キリン・メッツ3Dコマーシャル用メガネの説明書
【図6】メガネストアーのキャンペーンポスター(右)
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前回紹介したように、世界で初めて通常番組として放送されたアナグリフ3D番組は、日本テレビの「オズの魔法使い」だった。だがしばらく国内での事例は見られなくなり、久しぶりに復活したのはコマーシャルにおいてだった。

これは、1987年6月11日~8月20日のTBS「ザ・ベストテン」内に放送された、炭酸飲料キリン・メッツの「KIRIN Mets 3-Dスペース・ライダー編」である。アナグリフ・メガネは雑誌で告知し、申し込む形式が採られた。【図5】

また、メガネ・ディスカウント・チェーンのメガネストアーが、2007年10月1日の“メガネの日”に3Dコマーシャル「とびだす! 日本メガネ党」をオンエアした。イメージキャラクター“おぎやはぎ”が演ずる日本メガネ党が立体視できるもので、インターネットでも公開された。アナグリフ・メガネはメガネストアー店頭で配布された。【図6】

記憶に新しい所では、日本テレビが2009年11月1日放送の番組「驚きの嵐! 世紀の実験 学者も予測不可能SP」において、アナグリフ放送を実施している。

>>次のページではプルフリッヒ方式の3Dテレビ番組を紹介。

[筆者紹介]

大口孝之

大口孝之(おおぐち・たかゆき)。立体映画研究家。59年岐阜市生まれ。日本初のCGプロダクションJCGLのディレクター、世界初のフルカラードーム3D映像「ユニバース2~太陽の響~」のヘッドデザイナーなどを経てフリー。NHKスペシャル「生命・40億年はるかな旅」のCGでエミー賞受賞。「映画テレビ技術」等に執筆。代表的著作「コンピュータ・グラフィックスの歴史」(フィルムアート社)。

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