第3次立体映画ブーム : 第三の革命 立体3D映画の時代 (2)

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コラム:第三の革命 立体3D映画の時代 - 第1回

2008年1月29日更新

第1回:第3次立体映画ブーム

前のページから続く

○ワーナー・ブラザース

世界最大級のスクリーンを持つIMAXシアターサントリーミュージアム[天保山](大阪) 世界最大級のスクリーンを持つIMAXシアター
サントリーミュージアム[天保山](大阪)

ハッブル宇宙望遠鏡の誕生から現在に至るまでを描くドキュメンタリー作品「Hubble 3D(仮題)」(10年全米公開予定)を、IMAX社とワーナー・ブラザーズ、NASAの共同で製作中。実際に宇宙におけるIMAX 3D撮影が予定されている。

また、現在サントリー・ミュージアム[天保山]で上映中の「ブルーオアシスII Deep Sea 3D」に続く、シリーズ第3弾「Under the Sea 3D」(09年全米公開予定)も完成を急いでいる。これは、南オーストラリア、ニューギニア、インド洋-太平洋地域の深海を紹介するIMAX 3Dのドキュメンタリーで、監督・撮影監督はハワード・ホール。ワーナー・ブラザーズとIMAX社の共同製作。

○ニューラインシネマ

ILMのVFXスーパーバイザーだったエリック・ブレビッグが監督デビューする、「Journey to the Center of the Earth 3D」(08年7月11日全米公開)を立体上映する。これは、ジュール・ベルヌ原作の「地底探検」の再映画化で、ベルヌの小説はフィクションではなく、事実だったことを発見する親子の話にアレンジされている。撮影にはフュージョン・カメラ・システムを用いている。

○ワインスタイン・カンパニー

アメリカの秘密軍事基地エリア51に捕らわれている宇宙人たちが、脱出を試みるというフルCGアニメ「Escape from Planet Earth」(09年全米公開)を制作中。CG制作はカナダのレインメイカー・アニメーション&ビジュアル・エフェクト社など。なお、ワインスタイン社は香港のイマージ・アニメーション社で、「鉄腕アトム」と「科学忍者隊ガッチャマン」のフルCGアニメ化も進めているが、「これらも立体映像化されるのでは」というウワサもある。

○その他のスタジオ作品

「Scar」(08年公開予定)
 ジェド・ワイントローブ監督の犯罪スリラー。Bleeding Art Industries社の製作。NHKテクニカルサービス社の機材を使って立体ハイビジョンによる撮影と編集を行った。

「The Dark Country」(08年米国公開)
 新婚旅行に出かけたカップルが恐怖の出来事に巻き込まれるスリラー。監督は俳優出身のトーマス・ジェーン。出演はロン・パールマン、ローレン・ジャーマンら。4K撮影を可能にしたRED ONEや、Silicon Imaging SI-2Kなどの新しいデジタルカメラを使用することでも注目される。製作はHyde Park FilmsとRaw Entertainment、配給はSony Pictures Worldwide Acquisitions Groupが新設したStage 6 Films。

「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」(08年8月22日全米公開)
 アポロ11号に紛れ込んだ3匹のハエが宇宙を旅するという内容の、傑作フルCG長編アニメ。エンディングには、実際にアポロ11号に搭乗したバズ・オルドリンが実写で登場する。監督は大型立体映像の巨匠ベン・スタッセン。CG制作はベルギーのエヌウェーブ・ピクチャーズ社。上映時間は48分版と1時間20分版がある。IMAX 3Dで上映される他、Real D方式やドルビー3D方式の配給も予定されている。

「Coraline」(09年2月6日全米公開)
 ニール・ゲイマンのファンタジー小説「コララインとボタンの魔女」を長編映画化した作品で、クレイメーションで有名なウィル・ヴィントン・プロダクションを母体として生まれたライカ・エンターテインメント社の制作。当初はフルCG映画だと発表されていたが、その後人形アニメを主体とする方向に路線変更した。2台のデジタルカメラでステレオ撮影されている。監督は「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のヘンリー・セリック。

画像1

「2012」(09年)
 フィンランドの立体映画専門プロダクションであるステレオスケープ社が手掛ける長編立体映画。製作・監督はカシミール・レートとサミ・ラティネン。

「シーモンスター」(07年)
 ナショナル・ジオグラフィック製作の古生物ドキュメンタリー作品。クビナガリュウのドリコリンコプスの兄弟を主人公として、海生爬虫類の生態をリアルなCGで描いている。大型の海トカゲのティロサウルスや、クビナガリュウのスティクソサウルスなども登場する。モントリオールのDamnFx社やロサンゼルスのProof社、サスーン・フィルム・デザイン社などが手掛けたVFXの完成度は極めて高い。IMAX 3Dで上映された他、日本国内でも4月5日よりReal D方式で公開される。

画像2

「ミイラ~ファラオの秘密~」(08年4月)
 ジャイアント・スクリーン・フィルムズとグラビティピクチャーズによるIMAXの歴史ドキュメンタリー。監督はキース・メルトン。現在まで残されたミイラの研究を紹介すると共に、古代エジプト文明が解明されていった歴史を紹介する。1870年代に墓泥棒による盗掘品がブラックマーケットに出回ったことがきっかけとなって、12人のファラオを含む40体ものミイラが発見されたエピソードを再現映像で描いた場面も登場する。07年に2D版が公開されているが、08年4月から2D→3D変換したバージョンも配給される。

その他、08年に完成が予定されている大型立体ドキュメンタリー作品としては、グレッグ・マクギリブレイ監督の「グランドキャニオン・アドベンチャー」(製作:マクギリブレイ・フリーマン・フィルムズ)や、バハマ諸島やトンガ王国周辺の海域で野生のイルカやクジラの生態を捕えた「ドルフィン&ホエールズ」(製作:3Dエンターテインメント&マッキニー・アンダーウォーター・プロダクション)、アフリカの海洋生物を描く「ワイルド・オーシャン」(配給:ジャイアント・スクリーン・フィルムズ)などが予定されている。

◇  ◇  ◇

そしてこれらの新作に加えて、過去の名作映画が2D→3D変換され、次々と再公開されれば、立体コンテンツ不足で悩むことは無くなるだろう。後は国産の立体劇映画が作られることを望む限りである。

次回は過去の立体映画ブームを振り返り、今回の流行との違いについて考える。

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[筆者紹介]

大口孝之

大口孝之(おおぐち・たかゆき)。立体映画研究家。59年岐阜市生まれ。日本初のCGプロダクションJCGLのディレクター、世界初のフルカラードーム3D映像「ユニバース2~太陽の響~」のヘッドデザイナーなどを経てフリー。NHKスペシャル「生命・40億年はるかな旅」のCGでエミー賞受賞。「映画テレビ技術」等に執筆。代表的著作「コンピュータ・グラフィックスの歴史」(フィルムアート社)。

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