「サマー・ムービー、儲かったのは誰?」 : FROM HOLLYWOOD CAFE

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コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第8回

2000年8月1日更新 小西未来

今年の夏の映画界はどうも様子が変だ。毎週次から次へと超大作が公開されているのに、成績がそれに伴っていないのである。大ヒットの目安は〈興行収入1億ドル〉と言われているが、7月下旬の時点でそれをクリアしたのは「M:I-2」「グラディエーター」「ダイナソー」「パーフェクト・ストーム」「ビッグ・ママス・ハウス」「最終絶叫計画」の6本。この数字自体は悪くはないが、問題はそのうち1億ドル以上の制作費をかけた作品が4本もあることだ。途方もない製作費をつぎこんだ「ダイナソー」に至っては、1億3千万ドルの収益をあげてもまだ赤字という状態である。純利益で文句なしのヒット映画と呼べるのは「最終絶叫計画」と「ビッグ・ママス・ハウス」ぐらいだ。

「ホワット・ライズ・ビニース」 「ホワット・ライズ・ビニース」

安手のティーン向けコメディーが大活躍をする一方で、夏のボックスオフィスを引っ張るはずのビッグスター出演作はどれも期待はずれだ。メル・ギブソン主演のアクション「パトリオット」、ジム・キャリーのコメディ復帰作「ふたりの男とひとりの女」、「ザ・ロック」「コン・エアー」に続いてニコラス・ケイジがプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーと組んだカーアクション「60セカンズ」と、どれもそこそこの数字。ジョン・トラボルタ念願のSF映画「Battlefield Earth」なんかは、あまりの評判の悪さにさっさと打ち切られた(これほど酷評された映画はケヴィン・コスナーの「ポストマン」以来だ)。アニメーションも不調で、マット・デイモンやドリュー・バリモアが声優をつとめた「タイタンAE」やデニーロがプロデュースしたアニメと実写の合成映画「The Adventure of Rocky and Bullwinkle」は大コケ。その一方で、一番地味なクレイメーション(粘土でできた人形のアニメーション)映画「チキン・チキン・ラン・ラン」が大健闘を見せている。

「最終絶叫計画」 「最終絶叫計画」

「チキン・チキン・ラン・ラン」の配給はドリームワークスだが、「グラディエーター」といい、先週はじまったばかりのサスペンス映画「ホワット・ライズ・ビニース」といい、巧妙な宣伝戦略で着実にヒット作を生み出している。たとえば「ホワット~」にはハリソン・フォード、ミシェル・ファイファーという二大スターが出演しているが、ポスターにはふたりの写真を使わず、バスタブに女性の手だけという絵柄でサスペンス色を前面に押し出した。それぞれ「ランダム・ハーツ」、「ストーリー・オブ・ラブ」でコケているため、彼らの力に頼らない戦略が功を奏した形だ(ワーナーの「パーファクト・ストーム」も、「特撮パニックもの」というジャンルを徹底アピールして成功した)。

「グラディエーター」の大ヒットの理由はなによりもその公開タイミングにある。「M:I-2」の公開3週間前にリリースし、ボックスオフィスを独占。のちに強敵「M:I-2」が現れても吹き飛ばされないだけの口コミを広げることに成功した。逆にスケジュールで大失敗したのがジャッキー・チェン主演の西部劇「シャンハイ・ヌーン」。一般観客を招待して行ったテスト試写の反応があまりにも良かったため、スタジオは秋の公開予定を大幅に繰り上げて「M:I-2」にぶつけた。が、予想通り、「M:I-2」の嵐に飲まれて観客を広げることができなかった。テスト試写の結果を信じすぎてはいけないという例だ。

最後に現時点でのサマームービー成績を、◎大ヒット、◯健闘、△がっかり、×大コケ、でまとめてみました。ご参考までにどうぞ。

サマームービー 中間成績

◎ 「M:I-2」

◎ 「グラディエーター」

◎ 「最終絶叫計画」

◎ 「ビッグ・ママス・ハウス」

◯ 「チキン・チキン・ラン・ラン」

◯ 「シャフト」

◯ 「X-メン」

△ 「ふたりの男とひとりの女」

△ 「60セカンズ」

△ 「パトリオット」

△ 「シャンハイ・ヌーン」

△ 「ダイナソー」

× 「バトルフィールド・アース」

× 「タイタン A.E.」

× 「The Adventure of Rocky and Bullwinkle」

[筆者紹介]

小西未来

小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を選考するハリウッド外国人記者協会(HFPA)に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開を控える。

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