肥満大国アメリカの病巣をえぐる映画 : FROM HOLLYWOOD CAFE

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肥満が深刻な社会問題となっているアメリカで、あるドキュメンタリー映画が話題を集めている。1日3食マクドナルドだけで過ごしたらどうなるかを記録した「スーパーサイズ・ミー」という映画がそれで、超低予算映画ながら全米ボックスオフィスのベストテンに食い込む健闘をみせているのだ。

「スーパーサイズ・ミー」のUS版ポスター「スーパーサイズ・ミー」のUS版ポスター

「スーパーサイズ」とは、アメリカのマクドナルドではお馴染みの「特大」サイズのことで、ポテトなら610キロカロリー、コーラなら410キロカロリー(1.25リットル)もある化け物のような代物のことだ。以前、肥満になったのはマクドナルドのせいだとして、二人の黒人少女が訴訟を起こしたことが話題になったけれど、結局、この訴えは却下された。たぶん世の中の多くの人は、「そりゃそうだ」と思っただろう。けれど――ぼくもその1人だ――、モーガン・スプーロックというNY在住のフィルムメーカーは違った。原告の訴えを却下した根拠として、少女2人の食生活におけるマクドナルドへの依存度が証明できなかった点が挙げられていたことに注目した彼は、100%マクドナルドだけで生活したら、体にどのような影響が出るのか自ら実験することにしたのである。

彼のルールはシンプル極まりない。

1.マクドナルドで売っているもの以外は食べない。
2.店員に「スーパーサイズ」を薦められたら、断ってはいけない。
3.メニューすべてのアイテムを、必ず食べなければならない。
4.1カ月間続けなくてはいけない。

この設定だけを聞くと、くだらないバラエティ番組のチャレンジ企画のように思えるかもしれないけれど、モーガンの30日間ドキュメントと平行して、教育現場の取材や、栄養学士、弁護士、企業のスポークスマンのインタビューなどが盛り込まれ、「スーパーサイズ・ミー」は意外なほどディープなところに踏み込んでいく。やがて、浮かび上がるのは、利潤を追求する企業とその犠牲になる無知な人々という、アメリカではよく見慣れた構図である。

マクドナルドの「スーパーサイズ」マクドナルドの「スーパーサイズ」

ちなみに、健康体そのものだった監督兼実験台のモーガンは、一月後には体重が13キロ増え、コレステロール値が65ポイント上がり、肝臓がショック状態に陥り、性的不能、肉体疲労、呼吸困難など、ありとあらゆるトラブルに悩まされることになる。なによりショッキングなのはドクターストップをかけられながらも、取り憑かれたようにハンバーガーを食べ続けるモーガンの姿だ。「食べているときだけ、幸せな気分になれる」と言う彼は、完全にジャンクフード依存症になってしまうのだ。

ジャンクフードが好きな人やダイエットをしたい人は必見の映画だと思う。ただし、ポップコーンやコーラなどの映画の友はくれぐれも買わないように。

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ガイド

FROM HOLLYWOOD CAFE ロサンゼルス在住のフィルムメイカー/ライターの小西未来氏が、ビビッドなハリウッドの姿を毎月届けてくれます。毎月1日頃更新

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