ビル・マーレイにオスカーを! : FROM HOLLYWOOD CAFE

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たぶん、今年のアカデミー賞でみんなが注目しているのは、渡辺謙がノミネートされた助演男優賞部門だと思う。もちろんぼくも応援しているけれど、「ラスト・サムライ」の全米人気が今ひとつなので、可能性はそれほど高くないと思う。残念ながら。

「ロスト・イン・トランスレーション」のビル・マーレイ「ロスト・イン・トランスレーション」のビル・マーレイ

むしろぼくが期待を寄せているのは、ビル・マーレイの主演男優賞である。この部門にノミネートされた5人のうち、ジョニー・デップ(「パイレーツ・オブ・カリビアン」)とジュード・ロウ(「コールド・マウンテン」)、そして、ベン・キングスレー(「砂と霧の家」)の評価は高くない。それだけに、ビル・マーレイ(「ロスト・イン・トランスレーション」)のチャンスは十分ある。

一番の問題は、同一カテゴリーに「ミスティック・リバー」のショーン・ペンがいることだ。ショーン・ペンが名優であることは疑いようもない事実で、じっさいあの映画での演技も素晴らしかった。でも、だからこそ、マーレイに取らせてあげたいのだ。

ビル・マーレイほど、過小評価されている俳優もいないと思う。それは彼がコメディアンである上に、よく、ひどい映画に出てしまっているせいなのだが、「恋はデジャ・ブ」や「天才マックスの世界」のような素晴らしい脚本に巡り会えたとき、彼はものすごい力を発揮する。じっさい、やる気のない中年役をやらせたら、彼の右に出る人はいないと思う。

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「ロスト・イン・トランスレーション」でのボブ・ハリス役は、これまでのキャラクターとちょっと違う。やる気がないところはいつも通りなのだけれど、スカーレット・ヨハンソン演じるシャーロットに注ぐその眼差しは、プラトニックな愛情に満ちあふれている。これほど温かみに溢れたキャラクターを演じたのは、おそらく初めてではないだろうか。

考えてみれば、ショーン・ペンとビル・マーレイは似てなくもない。ハリウッドから距離を置くペンと、エージェントに自分の連絡先すら教えないマーレイ(彼を起用したければ、プロデューサーは自ら居場所を突き止めなくてはいけないのである)は、ともにアウトサイダーだ。2人を隔てるのは、ドラマ俳優かコメディ俳優かの違いである。

ご存じの通り、映画賞ではコメディよりもドラマのほうが圧倒的に強い。だから、授賞式でも、ショーン・ペンの名前が呼ばれる可能性が非常に高い。それでも、ビル・マーレイを応援してしまうんだよな。

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FROM HOLLYWOOD CAFE ロサンゼルス在住のフィルムメイカー/ライターの小西未来氏が、ビビッドなハリウッドの姿を毎月届けてくれます。毎月1日頃更新

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