行き当たりばったり、ツイン・ピークス訪問気 : FROM HOLLYWOOD CAFE

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一番奥に座っているのがTPセレブたち一番奥に座っているのがTPセレブたち

思えば、これまでずいぶんといろんなアルバイトをしてきたものだ。とくに留学生のころは、ライターだけではとてもやっていけなかったので、どんな職種でも進んで引き受けていた。日本から取材にきたライターさんの運転手やアテンド係は日常茶飯事だったし、テレビ番組のコーディネーターもやった。日本で映画グッズ屋さんを経営している人の買い出しにつきあったこともある。あるときは、心臓学の学会に潜入して、スライド映像を写真に収める、というスパイのような仕事もやった(あの写真はいったいなにに使われたのだろう?)。そのほとんどは、自分には向いていないよなあ、と思うような職種だったけれど、経済的メリット以外にもそれぞれなにかしら――心臓のメカニズムから、自分がジャンケット取材で貰う映画グッズが、いくらで売れるのかという生活の知恵まで――得るものがあった。

ここまでいろんなことを経験してきたぼくだけど、今月の「ツイン・ピークス・フェスティバル」取材もなかなか変わっていた。「ツイン・ピークス」の舞台となったスノコルミーという村では、毎年出演者たちを招いてフェスティバルが行われているのだが、今年は日本から取材陣がはるばる駆けつけることになった。ぼくの役回りは記者さんたちの通訳ということになるのだが、これがいつものようにはいかない。一般参加のためインタビューのアポが取れていないばかりか、フェスティバルの内容が不明で、すべては当日にならないとわからないという、行き当たりばったりの取材なのである。

ドクター・ジャコビーにサインをせがむ人々ドクター・ジャコビーにサインをせがむ人々

一日目の夜は、出演者たちを囲んでバーベキュー大会となった(このことも、会場に着いて知った)。このイベントのためにやってきた有名人は10人ぐらいいて、それぞれ大勢のファンにサインをせがまれている。仕方がないので、ぼくらも彼らと一緒に列に並んで、直接話せるタイミングを待った。一般のファンと一緒になって取材をするなんて、7年ほどのインタビュー歴のなかでもはじめてのことだ。待っているあいだ、周囲のおたくの人たちに取材を試みてみたものの、話がまるでかみ合わずに失敗。コミュニケーション能力に欠けた人たちがすごく多かった。悪そうな人はいないのだが。

出演者のみなさんが親切だったのは、唯一の救いだった。アポなしの取材にも嫌な顔ひとつせず、むしろ大歓迎といった様子だった。きっと普段は地味な生活をしているから、外国人記者の取材を喜んでくれたのだと思う(あるいは、他のおたく連中にくらべて、ぼくらが比較的まともだったからかもしれないけど)。とにかく、ぼくとしては、ここまで取材を歓迎してくれる人にインタビューするのはとても新鮮な気分だった。いつもは取材に疲れたセレブばかりだからね。

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FROM HOLLYWOOD CAFE ロサンゼルス在住のフィルムメイカー/ライターの小西未来氏が、ビビッドなハリウッドの姿を毎月届けてくれます。毎月1日頃更新

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