
一時帰国はいつだって楽しい。
筆者近影。スチュアートとお友達ロサンゼルスに暮らしていると言うと、羨ましがられてしまうことが多いのだけど、自分自身ではけっこう退屈していたりする。飽きっぽい性格のせいかもしれないけれど、人はどこに暮らしても、それが日常になってしまえば退屈に感じてしまうものなんじゃないかと思う。恋愛と結婚が違うように、旅行と生活とは別物なのだ(結婚したことはないんですけどね)。
そんなぼくにとって、一時帰国は一種の観光である。日本で生まれ育ったから、もちろんそこには嫌というほど馴染みがある。でも、その驚異的な変化のスピードと、ぼくの「メメント」的記憶喪失があいまって、東京はいつでも刺激的な観光地だ。言葉が通じるうえに、土地勘もあるので――それでも地下鉄の乗り継ぎではいつも間違えてしまうけれど――、それほど不自由なく動き回ることができる。そこに暮らす人々の服装を見たり、流行っている店をのぞいたりするだけでも、結構楽しかったりする。きっと、地方から東京に出て来た人も、同じような感覚なんじゃないかと思う。うかれた気分で必要以上に買い物をしてしまったりするし。
赤坂のスターバックスにてでも、1週間もすると、ロサンゼルスでの日常が懐かしくなった。スターバックスで仕事をしようにもどこも満員で、喫茶店やレストランではたばこの煙でいぶされてしまう。結局、早朝のデニーズで、キャラメルハニーのパンケーキを食べながらラップトップを打つことになるのだけれど、なんだかしっくりとこない。ここには自分の居場所がないのである。
2週間ぶりに戻ったロサンゼルスは、いやになるほどいつもと変わらなかった。目がくらむような日差しも、スモッグだらけの空気も、慢性的な交通渋滞でさえも、なんだか懐かしかった。ぼくはここでのワンパターンな生活が大好きだったのだ。ボロアパートに戻るなり、ぼくはベッドに倒れこんだ。やっぱりウチが一番、なんて思いながら――。
翌日からさっそく仕事が始まった。アントニオ・バンデラス(「スパイキッズ2」)、ロビン・ウイリアムズ(「ストーカー」)、ジョディ・フォスター(「イノセント・ボーイズ」)らのインタビューを一日でこなすことになった。スケジュール的にはハードだったけれど、ひさびさの取材で楽しかった。
その夜からぼくは体調をこわした。旅の疲れが出たのか、ずっと張りつめていた緊張感が解けたためかわからないけれど。
原稿遅くなってごめんなさい。
