コラム:韓国の人がぶっちゃける、made in KOREA - 第15回

2012年3月23日更新

韓国の人がぶっちゃける、made in KOREA

ライバルドラマの視聴者さえも納得させたドラマ「太陽を抱いた月」

「太陽を抱いた月」チョン・ウングォル著 (日本版は新書館より刊行決定)
「太陽を抱いた月」チョン・ウングォル著 (日本版は新書館より刊行決定)

韓国では、「ドラマの視聴率を高めるには主婦層を狙え」という暗黙の公式があります。我が家も例外ではなく、チャンネル主導権は母が握っていたため、母のお気に入りのドラマ「乱暴なロマンス」を一緒に視聴していました。

しかし、あまりの低視聴率のためか、ドラマは早々に打ち切りに。母は憤慨していました。私から見ても、内容、構成ともに素晴らしく、主人公の演技も抜群だった「乱暴なロマンス」が打ち切りになったのは非常に残念でした。なぜ、こんなに面白いドラマの視聴率が低かったのでしょうか。その答えは、ただひとつ。モンスター並みの強敵が現れてしまったからです。同時間帯に、最高視聴率が40%を越えた“話題の先端を走るドラマ”の「太陽を抱いた月」が放映されたのです。

原作のべストセラー小説は、ドラマ放映後に再び書店に陳列される勢い。そして、原作者は“少女漫画風”時代劇ロマンスを書かせたら右に出るものはいないという、「成均館儒生たちの日々」(ドラマ「成均館スキャンダル」の原作)の作家だったのです! 彼女は過去の時代背景をもとに、女性を刺激するファンタジックなロマンスを書くことで有名。女性のツボをこれでもかと刺激してしまう作家ですから、ヒットするのもうなずけます。

さて、ドラマの視聴率というのは、4~5話くらいに行く末が決まると言われています。この時点で話題になるかならないかで、その後の寿命が決定するのです。しかし注目すべきは、主役に大抜てきされた美人女優ハン・ガインと青春スターのキム・スヒョンの初登場が、6話以降だったという点です。それまではふたりの幼いころが描かれているため、バトンタッチまでは子役が演じていました。つまり、視聴率の基盤となる4~5話の時点で爆発的な成功を収めたのは、ほかでもない子役の活躍だったというわけです。

「太陽を抱いた月」チョン・ウングォル著 (日本版は新書館より刊行決定)
「太陽を抱いた月」チョン・ウングォル著 (日本版は新書館より刊行決定)

女主人公、その兄弟、男主人公、その異母兄弟。どのキャラクターもハマリ役で、彼らの美しさや演技力は見るものを釘付けにしました。特にキム・ユジョンの13歳とは思えないほどの可憐さと大人っぽさには、私も思わず息をのんだほどです。13歳にしてあれほどのメロドラマを演じられる彼女は、今後の韓国を代表する存在になるでしょう。

「王様が政治せずに恋愛にかまけている」「ハン・ガインの魅力がキム・ユジョンに劣っている」など、人気作ゆえの嫉妬が飛び交うなか、このドラマが名作として語られるであろう最大の理由は、今後の韓国ドラマ界を担う子役を輩出したという功績が大きいのです。

重い時代劇が苦手な人にも、十分楽しめるロマンス時代劇。大好きだったドラマを打ち切りにした「太陽を抱いた月」に、最初は腹を立てていた母も、ふとしたきっかけで第1話を見てから「こりゃかなわないワケだ」と毎週欠かさず見るようになったのです。

筆者紹介

がっちゃんのコラム

がっちゃん。韓国の人。東方神起様様の絶大なる人気に便乗し、持ち前の変態度合いが人様にウケてブログが何だか知らぬうちに物凄い事になってしまったが、(開設1年ちょっとで累計訪問者数3000万?)実際はただの平和主義でマニアックな大学院生。大統領との通訳をしたり、大学の生徒会役員を勤めたりなど、韓国内でもかなり幅広い経歴の持ち主ではあるが、実際は部屋にひきこもってアニメ鑑賞やラジオを聴いてる瞬間が一番心休まる人。東京外大に交換留学してた頃は、貴重な時間を「男はつらいよ」を見ることに全て費やして帰国した人。昭和ヲタク。

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