若手実力派、佐津川愛美がくだらなさ炸裂のサスペンス風コメディに決死の挑戦! : 若林ゆり 舞台.com

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コラム:若林ゆり 舞台.com - 第48回

2016年10月4日更新

第48回:若手実力派、佐津川愛美がくだらなさ炸裂のサスペンス風コメディに決死の挑戦!

佐津川愛美はちょっと、いや、かなりビビっていた。日本映画界きっての若手実力派女優にしてドラマや舞台でも躍進著しい彼女が、これほどプレッシャーを感じる舞台とは何か? それはナイロン100℃の大倉孝二と劇作家・演出家のブルー&スカイが「役に立たない演劇」を標榜し、くだらない笑いを追求するユニット、ジョンソン&ジャクソンの新作、「夜にて」だ。

なにしろジョンソン&ジャクソンといえば、2014年に上演された前回公演「窓に映るエレジー」がすごかった。くだらないなんてもんじゃない。なんといってもメインキャストの1人、池谷のぶえが大真面目に演じるのは、太ったおっさん警部と彼がなりきる犬のマメ柴(など)! ナンセンスすぎて説明できないほどの衝撃なのだった。そのジョンソン&ジャクソンが、2年ぶりの新作ではどうやらくだらないコメディに戦慄のサスペンスを融合しようとしているらしい。そして小劇場系の演劇人ではない個性を入れたいという思いから、ヒロイン役に白羽の矢を立てたのが佐津川なのだ。

画像1 撮影:若林ゆり

「大倉さんに声をかけていただいたことがうれしかったので『やります!』って言っちゃったんですけど、演劇界の人たちから『ジョンソン&ジャクソンに出るんだね!』ってすごく言われて。『あ、みんな期待してるぞ』というのをひしひしと感じて、ものすごいプレッシャーになってきて。思った以上に緊張してビビっているんです」

佐津川が演じるのはさびれた温泉街にある旅館の若女将、月子。しかし、稽古に入って間もない取材当時はまだ台本が完成しておらず、月子がどんな人物なのかよくわからない。ただし、何かミステリアスなものを背負っていそうな月子が、その台詞を言うか! というギャップが頻発、おかしくてたまらない。本読みでは笑った?

「笑っちゃいましたー(笑)。いちばんの問題は、私がすぐに笑っちゃうことだと思うんです。それを耐える訓練を稽古中にしたいと思います。佐藤真弓さんのキャラとかがもう、めちゃめちゃ面白くて! ブルー&スカイさんに『もっとシリアスな感じで』とか真面目な顔で言われると、それも面白くて笑っちゃいます(笑)」

月子のキャラは、おそらく真面目にやればやるほど面白いタイプ。笑わせようと狙ってしまってもダメそうだ。

「笑わせようとかそういうことは、一切考えていなくて、ただ真面目に芝居しようと思っています。笑いについてはみなさんとご一緒させていただくことで学んでいこうという姿勢で(笑)。狙っちゃダメなんだと思うんです。ゆるい感じで、ゆるいけどちゃんとやるという雰囲気をいま感じています。それがいいなぁと。ゆるすぎて身内が楽しいだけみたいになっちゃうと、私はあまり好きになれない。でもそうじゃないんです。このカンパニーで私がただ真面目に芝居をできれば、みんなで楽しいものが創れるのかな。いま『娼年』のときより緊張してるんです、私(笑)」

画像2

本当に!? どれだけなんだ! そう、佐津川愛美はこの稽古が始まる直前、すごい舞台を経験していた。セックスというテーマに迫った石田衣良の小説を、三浦大輔が舞台化したR-15指定のチャレンジングな作品「娼年」。この中で、ボーイズクラブの男娼となる主人公・領の才能を最初に見いだす咲良役を、文字通りの体当たりで演じていたのだ。

「それはもうたいへんでした……『娼年』は。でも、出演できてよかったなぁって、いまは思えています。役で悩むとかは全然なかったんです、私は。あの咲良という役が本当に大好きで、あの役ができたことがとっても幸せだったので。でも、千秋楽が近くなったら『あ、終わる!』って、すごく元気になっていて(笑)。意外とストレスがあったんだなぁ、たいへんだったんだなぁって思いました。でもその後、千秋楽の翌日には映画のクランクインがあって、この舞台の稽古も始まっているので余韻に浸る時間がなくて。『娼年』に関しては幻だったかのような感覚なんです」

その「娼年」で共演した村岡希美は、「ジョンソン&ジャクソン」前作の出演者。仲よくなった村岡からは、しょっちゅう「ジョンソン&ジャクソンをよろしくねー」と言われていたのだとか。とにかく「娼年」とは180度違うタイプの作品!

「村岡さんから『絶対くだらないよ!』ってずっと言われてたので、『どんだけなんだろう?』って思って台本を読んだんですよ。そのとき台本はまだ途中までだったんですけど、なんとなく始まったと思ったらクスッと笑えるところがいっぱいあって、『なんだコレは!?』って(笑)。『このペースで最後までずっと行くのか……超難しい!』と思いました(笑)」

[筆者紹介]

若林ゆり

若林ゆり(わかばやし・ゆり)。映画ジャーナリスト。タランティーノとはマブダチ。「ブラピ」の通称を発明した張本人でもある。「BRUTUS」「GINZA」「ぴあ」等で執筆中。

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