「ダークナイト」ノーラン監督、“ジョーカー”ヒース・レジャーを語る
「ダークナイト」のジョーカーが
遺作となったヒース・レジャー
[ロサンゼルス 30日 ロイター] とにかく恐ろしい悪役ジョーカーを作りたかったという「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督の目論みは、見事に成功したと言っていいだろう。先日、7月18日の全米公開を前に行われた関係者及びメディア向け試写では、28歳で急逝したヒース・レジャー扮するジョーカーが登場すると、驚きでハッと息をのむ音があちこちから聞こえてきた。
レジャーはあたかも自らの奥底に潜む闇や邪悪さを全て呼び覚ましたかのような、究極のアンチヒーローを作り上げた。それは、かつてティム・バートン監督版「バットマン」(89)でジャック・ニコルソンが演じたジョーカーのどこかキッチュな感じとはまるで異質なものだ。
ノーラン監督は、かなり前からレジャーと一緒に仕事をしたいと思っていたと語る。そして、レジャーがアカデミー主演男優賞にノミネートされた「ブロークバック・マウンテン」を見て、彼ならどんな役にでも挑めることを確信したそうだ。「あの映画の中のヒースは、自分を良く見せようとか、観客の目などを一切意識していない。内気で孤独な男をひたすら誠実に演じていた。その姿がとても悲痛で、同時に大胆だと思ったんだ」
そしてノーラン監督とレジャーは、「ダークナイト」の脚本が完成する前から、2人で「パンクや『時計じかけのオレンジ』といった映画にインスパイアされた」ジョーカー像を作り上げていった。「ヒースは大変な努力を重ねて役作りをしたが、なぜ彼のジョーカーが恐ろしいかと言ったら、それは人間くさいからだ。その複雑な邪悪さにこそ説得力がある」
ジョーカー役のレジャーの演技は高い評価を得ることになるだろうが、それでもこれが彼の遺作となったことで、どうしてもほろ苦さがつきまとうとノーラン監督は言う。「どうしたって常に、彼が生きていたら今度はどんな役を……と思ってしまうからね。これだけの偉業を成し遂げた才能があんな風に断ち切られてしまったことが悲しくてしょうがないんだ」



