手持ちのカメラ目線が主役。主観撮影(POV)映画の時代到来か
[ロサンゼルス 28日 ハリウッド・レポーター] 1999年、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」が全米興行収入1億4000万ドル(約150億円)を上げる大ヒットを記録したとき、映画業界は、今後はこういう映画監督志望の変人が手持ちカメラで撮った映像をそのまま作品化したような映画の時代が来るのだと身構えたものだった。
ところがそうではなかった。同作の続編「ブレアウィッチ2」でさえ、より伝統的な作風に立ち戻っていたのだ。
だが、ついに主観撮影(POV=Point of View)映画の時代が到来したのかもしれない。カメラを手にした青年の視点で描いたドキュメンタリー風モンスター映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」が先日全米で公開されたが、公開初日から4日間で4600万ドル(約50億円)の興行収入を上げる大ヒットとなっている。
さらに今年は、少なくとも5本の主観撮影映画が公開される。昨年はゼロだったことを思えば、ブームの兆しが窺えるだろう。まずは連続殺人鬼が残した映像をテーマにした「The Poughkeepsie Tapes」と、狂犬病が蔓延する街に閉じ込められたカメラマン視点の映画「Quarantined」が今秋公開予定。いずれの作品も、今この分野で最注目の新鋭ジョン・エリック・ダウドルが監督を務めている。また、大御所ジョージ・A・ロメロの新作ゾンビ映画「ダイアリー・オブ・ザ・デッド(Diary of the Dead)」も、やはり主観視点の作品だ。
今回の主観撮影映画ブームの背景には、カメラの普及とユーチューブ現象というものがある。「ブレア・ウィッチ」でカメラを回していたのがあくまでも映画学校の学生であったのに対して、今では誰もがカメラを携帯している上に、撮影したものをすぐさま皆で共有することさえできるようになったのだ。
「クローバーフィールド/HAKAISHA」の監督マット・リーブスは言う。「人々が1日中肌身離さず持っている携帯電話がそのままカメラでもある時代だ。現代人にとっては、撮影してそれを共有するのが世界を処理するやり方となった。だから映画の世界にその傾向が現れたとしても、何も不思議なことはないだろう」



