「リトル・マーメイド」のブロードウェイ版ミュージカル、ふるわず
[ニューヨーク 11日 ハリウッド・レポーター] ディズニーのアニメ映画のミュージカル化が続いているが、10日に初日を迎えたブロードウェイ版「ザ・リトル・マーメイド」が、このタイトルだけで見に来る層以上の観客を惹き付けるロングランとなることはまず見込めないだろう。
本作に著名なオペラ演出家フランチェスカ・ザンベッロを起用したディズニーが、ジュリー・テイモア演出の傑作「ライオン・キング」の奇跡を再び狙ったことは間違いない。だが残念ながら、「ザ・リトル・マーメイド」は視覚的な魅力にも乏しく、作品の焦点も不明瞭だ。
トニー賞およびピュリッツァー賞受賞作家ダグ・ライトによる脚本は、映画版を忠実になぞってはいるが、舞台版ならではの個性に欠けている。映画版の音楽を担当したアラン・メンケンとグレン・スレイターが本作のために書き下ろした新曲も記憶に残るものは少なく、もっと悪いことに、名曲「アンダー・ザ・シー」ですら、やたらと凝りすぎた舞台にあっては映画ほど響いてこないのだ。
人魚アリエル役のシエラ・ボッゲスとエリック王子役のショーン・パルマーは魅力的だし、好演を見せている。それ以外のキャストにもブロードウェイのベテラン勢が揃ったが、やはりまずい演出のせいでその実力が存分に生かされているとは言えない。
また、特筆すべきは衣装や舞台デザインの醜悪さだ。とりわけ、アクリル樹脂や巨大な彫刻作品を多用したセットは、家族向けのミュージカルよりはフィリップ・グラスの前衛オペラにふさわしいようなものだった。(フランク・シェック)



